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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

「絶対儲かる」に騙され、30年かけ貯めた1千万円が一瞬でゼロに…50代が狙われている

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

投資することが、とても大切なわけ

 本来なら(1)から順番に説明していくのがセオリーだが、このコラムでは初回で(6)の投資の大切さに切り込みたい。しかし、「投資をしないと増えない」「投資をしないと、途中で資金が足りなくなる」ということじゃない。もっとはるかに深刻なことだ。

 投資経験がないと詐欺にあう可能性がとても高い! このことは、雑誌やウェブのコラムでも、著書やホームページでも繰り返し警告してきた。「投資経験がないと、投資詐欺にあいますよ。退職までに貯めた1000万円、2000万円、退職金でもらった3000万円を詐欺で巻き上げられますよ!」と。『50代のいま~』でももちろん警告した。178ページをお読みいただきたい。

 先日、50代半ばの男性から、こんなメールが届いた

「中村さんの『50代』の本を読みました。家族の中で大変なことが判明しました。1日も早く相談したいです」

 これは放ってはおけない! なんとかスケジュールを調整し、Skypeでのコンサルティングを承った。男性は本を読んで「うむ、やはり夫婦で話し合って、一緒に考えることが大切なんだ」と気づき、奥さんと話す場を持った。それぞれ平均以上の収入がある共働きカップルで、家賃は彼、食費は彼女という具合に出費を別々に負担、貯金もそれぞれで貯めていて、相手のお金のことを尋ねることはなかった。相手はきちんと貯めているようだし、不安はなかった。

 ところが、貯金のことを尋ねると、彼女は「実は最近、くりっく365というのを勧められて……」と話しだした。1カ月ほど前に500万円を送金し、その後、担当者から「損が出てしまったが、その分のお金を入れて続ければ必ず儲かる」と言われて、さらに500万円を入金したところだった。

 先物取引業者から彼女の職場へ勧誘の電話が何度もかかってきた。投資の仕組みはよくわからなかったが、会ってみると、とても良さそうな人だったから信頼できそうと判断し、必ず儲かると言われて送金してしまったらしい。

 その後、夫の指示ですぐに取引を中止。弁護士にも相談したが、お金は戻って来ないだろうとのこと。気が付かなかったら1000万円の損ではすまず、貯金全部を持っていかれるところだった。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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