ZOZOTOWNが鳴り物入りで発表したZOZOスーツ、発表当初はおおいに騒がれたが、最近あまりそのニュースを耳にしなくなった。「いったいぜんたい、ZOZOスーツとはなんだったのか?」という疑問の声を耳にすることも多い。
このZOZOスーツについては、実は私は裏情報を知っている。それはZOZOTOWNではなく、その競合相手にあたる企業を通じて入って来た情報なのだが、それを踏まえてZOZOスーツがいつごろから“すごくなる”のかについて、まとめてみたい。
フィッティングテクノロジー
ZOZOスーツが発表されるまでのこの2年間、さまざまなアパレル系のインターネット通販会社がアメリカ西海岸のITベンチャー企業詣でを通じて、手に入れようとしていた新技術が3つある。ここらが「裏情報」の入り口なのだが、当時、私は別のアパレル通販会社に紹介するために、西海岸のITベンチャーを関係者と一緒に回っていたのだ。
3つある技術とは、1つはビッグデータの分析技術。2つめに顧客のリピート率や購買金額を上げる技術、そして3つめが、フィッティングテクノロジーと呼ばれる、顧客の体型に合った衣服を紹介する技術である。
実はこの“フィッティングテクノロジー・フィーバー”がZOZOスーツの出現にもつながるのだが、それはこういう業界事情から話が始まる。
アパレル系のインターネット通販で一番難しいのは、スカートの販売である。これはもう40年以上、カタログ通販の時代から苦労していて解決がつかない問題である。女性の体型は一人ひとり違っていて、あるデザインのスカートが似合うかどうかは、スリーサイズや身長・体重といった基本データだけではわからないのだ。
実際、洋服を買うときに女性は、男性と違って必ずといっていいほど試着室に入る。デザインがいいからといって、それが体型に似合うとは限らないからだ。スカートだけでなくブラウスも同じで、女性は一人ひとり身体の曲線が違うために洋服選びは本当に難しいのだ。
そこを逆手にとって、勝ち組のアパレル通販会社は「返品自由」をサービスの主眼に置いてここまで伸びてきた。しかし宅配クライシスが起きて配送コストが馬鹿にならないレベルで上がってくると、別の対策が必要になる。そこに登場したのがフィッティングテクノロジーだ。