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地球の平均気温2度上昇で夏、連日40度超えの恐れ…日本政府、温暖化抑制戦略策定へ

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いぶき2号を搭載したH-2A 40号機の打ち上げ(提供=JAXA)

 2018年10月29日、鹿児島県の種子島宇宙センターから、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、環境省、国立環境研究所の3機関共同開発による温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号(GOSAT-2)」が、H-2Aロケット40号機によって相乗り衛星5機と共に打ち上げられました。

 現在は09年に打ち上げられた1号が運用されていますが、すでに5年の設計寿命を超えており、2号はその後継機として、地球環境変動の要因のひとつである温室効果ガスを全地球規模で観測します。

 温室効果ガスの多くは、人間の経済活動によって大気中に放出されています。各国の専門家が参加して気候変動に関する調査・研究等を評価する国際機関IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、13年の第5次報告書で、人間の活動が原因で地球が温暖化していることは疑う余地はなく、温室効果ガスが今後も放出され続けるならばさらなる温暖化が進行する、と警告しました。

 これを受けて、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定においては、産業革命前の時代に比べ、地球の平均気温の上昇を2度未満にとどめ、1.5度以下を目標としています。2度の上昇といえばほんのわずかなように感じられますが、日本の夏季を例にとれば、18年のような猛暑が毎年続く気候、しかも35度以上の猛暑日を観測する地域が年々拡大し、やがては日本全土が猛暑日となる夏が普通のことになる時代を意味しています。

 夜間の気温が30度を下回ることはなく、昼間の気温が40度を超える日が何日も続くことになるため、日本の経済活動が大きなダメージを受けるほか、健康や農産物に対する被害も想像を絶する規模になり、若者や働き盛りの年代の熱中症死も頻発することになります。また、日本は食料の多くを輸入に頼っていますが、世界的に農作物がダメージを受けて自国民の食料供給もままならない状況になれば、日本に食料を売ってくれる国はなく日本全土で食料不足に陥るかもしれません。

 そんな絶望の時代を回避するために、日本は20年までに地球温暖化を抑制するための長期的な戦略を提出することとしています。

日本のお家芸となった温暖化ガスの衛星観測

 戦略を立案するためには、現状とトレンドを正確に把握することが必須です。そこで活用されるのが、いぶき1号、2号のデータです。いぶき1号が観測を開始するまでは、地球規模で温暖化ガスを観測する手段がありませんでした。そのため、過去においては各国がバラバラの方法で計測を行い、さらに砂漠や海洋、発展途上国には観測拠点がなかったため、地球規模での温暖化ガスの増加については否定的な意見さえありました。

 JAXA、環境省、国立環境研究所は、地球温暖化研究の支援として地球が置かれている危機的現状を正確に把握するため、いぶき1号の運用を09年に開始し、1基の人工衛星、つまり同じ手法で全地球規模の二酸化炭素とメタンの量、そしてその変動の計測を行っています。その結果、観測データの集計方法や精度が統一されたデータが収集され、温暖化ガスの増加を抑えることが人類にとっての重要課題であることが明確になりました。

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき1号」(提供=JAXA)

 いぶき2号は、さらなる高感度観測によって、より正確なトレンド予測をするに十分な世界最高水準の観測装置を搭載した衛星です。衛星本体は全長5.8m、高さと幅はそれぞれ2.1m、2.0mの凸型で、断熱フィルムに覆われ金色に輝いています。太陽電池は観測装置が大量に消費する電力を賄うため、5kWもの出力を持ち、左右対称に2枚のパネルが展開する、初期質量1.8tの二翼式三軸制御衛星で、太陽電池パネル展開時の全幅は16.5mとなります。

『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』 地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。 amazon_associate_logo.jpg

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