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奨学金返済「貧困」の若者たち…月10万円返済も、滞納1カ月でサラ金同然の取り立て

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「gettyimages」より

 2018年度から、独立行政法人日本学生支援機構は「給付型奨学金制度」を本格的にスタートさせた。貸与型かつ有利子の奨学金が主流のなか、“返さなくてもいい奨学金”の誕生は、金銭的な事情で大学進学をあきらめかけていた学生にとって大きな希望となるだろう。

 この給付型奨学金制度の誕生を後押ししたのが、教育社会学者で中京大学国際教養学部教授の大内裕和氏だ。著書『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新聞出版)で日本の奨学金制度に警鐘を鳴らしている大内氏に、奨学金問題の現状について聞いた。

月10万円の返済が必要な学生も

『奨学金が日本を滅ぼす』は、17年2月に出版されて以降、高校生の子どもを持つ親世代をはじめ、高校の教職員や奨学金を返済している世代、そしてこれから奨学金の利用を検討している学生たちなど、実に幅広い層の読者から反響があったという。

 そもそも、大内氏が本書を出版したきっかけは、学生たちの話を聞いたことだった。

「学生たちと話していると、彼らのほとんどが奨学金制度を利用していることがわかりました。それも、利用額が月に2万~3万円ではなく、月8万円や10万円という学生がザラにいるのです。私自身も奨学金を借りていましたが、約30年前のことです。当時と今とでは、学生の置かれている状況がすっかり変わっていることを知りました。もっと多くの人にこの事実を知ってもらわなければと、本を出すことを決めたのです」(大内氏)

 日本学生支援機構の奨学金利用は現在、学生全体の2.7人に1人に達している。すべての奨学金制度利用者を合わせると、昼間部大学生の約50%に達する。では、30年前はどうか。学生全体で見ても、奨学金利用者は2割にも満たない。なぜなら、そもそも借りる必要がなかったからだ。

「奨学金制度の変遷を説明するには、3つの時代に分けて考える必要がある」と大内氏は言う。

「まず、1970年代。今から約50年前は、国立大学の授業料は年間約1万2000円でした。月当たり、たった1000円です。もちろん今のほうが物価も高いですが、その差は約3倍なので、現在の金額に換算しても年間授業料は3万6000円。国立大学の学生は、そもそも授業料の心配をする必要がなかったのです」(同)

 その後、70年代から90年代にかけて、大学の授業料は徐々に上がっていく。ただし、平均世帯年収も同時に上昇していたため、授業料の負担が問題になることは少なかった。95年頃を境に平均世帯年収は徐々に低下していくが、親世代の所得が下がっても学費が下がることはなかった。その延長線上に、今の学生たちが置かれている状況がある。

「本書の第1章では、『この30年で大きく変わった大学生活』と題して、時代の変化をグラフを使って詳細に解説しています。奨学金問題を理解するには、まず、この世代間ギャップを埋めるところから始める必要があります。いまだに『奨学金を返せないのなら借りなければいい』などという意見を言う人がいますが、それがいかにズレた発想か、本書を読めばわかるはずです」(同)

サラ金同然の取り立ても…学生支援機構の悪循環

 多くの大学生は、キャンパスライフを満喫している間は奨学金のことなど頭にないだろう。その実態が身に染みてわかるのは、卒業して返済が始まるときなのだ。

『奨学金が日本を滅ぼす』 学びたい若者を助けるはずの奨学金の中身は有利子貸与が多く、実態は教育ローンそのものだ。そんな名ばかり奨学金の返済が、卒業後に否応なしにのしかかる。結婚できない、子どもを育てる余裕がない――こんな若者の姿にこの国のかたちが集約されている。次世代を苦しめて未来が開けるのだろうか? ブラックバイトに光を当てた著者が、解決策を含め奨学金問題を正面から取り上げる。 amazon_associate_logo.jpg

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