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2回目の米朝首脳会談へ…北朝鮮軍部内で非核化に不満充満、金正恩が中国を押しかけ訪問

文=相馬勝/ジャーナリスト
2回目の米朝首脳会談へ…北朝鮮軍部内で非核化に不満充満、金正恩が中国を押しかけ訪問の画像1北朝鮮・金正恩氏が4度目の訪中(写真:新華社/アフロ)

 1月初めの北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長の中国訪問は、中国の習近平国家主席の「招待」と公式に報道されているが、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、金氏が北京到着後すぐに人民大会堂で習氏と会った際、開口一番、「習近平同志が年明けの活動で忙しいなかでも、時間を割いて訪問の日程を具体的に立て、細心な関心を払ってくれたことに謝意を表した」と報じており、金氏が習氏に三拝九拝したことで訪中が実現したことがうかがえる。いわば「押しかけ訪問」だったことが明らかになった。

 また、同通信は「敬愛する最高指導者(金氏)とともに、(妻の)李雪主女史が同行した」と伝えたうえで、他の随行者として、米朝問題を担当する事実上のナンバー2である金英哲・党中央委員会副委員長(政治局員)らのほか、「党中央委員会政治局委員候補で党中央委員会第1副部長」として金氏の妹の金与正氏の名前を挙げている。与正氏が金氏の中国訪問に同行したのは初めてだけに、今回の訪中は、金氏が習氏ら中国最高指導部メンバーに与正氏を紹介し、金ファミリーが習指導部に恭順の意を示すとの目的もあったとみられる。

訪中の目的

 同通信は金氏が8日、北京に到着後、人民大会堂で習氏と対面する場面について、以下のように伝えている。

「金正恩同志が8日午後5時、人民大会堂で習近平同志と対面した。敬愛する最高指導者と李雪主女史が人民大会堂に到着すると、習近平同志と彭麗媛女史が温かく迎えた。敬愛する最高指導者と習近平同志は、新年の年頭に再び対面した喜びを禁じ得ず、親しく固い握手を交わして記念写真を撮った。習近平同志は、金正恩同志が新年の初の対外活動として中国を訪問したことについて熱烈に歓迎し、今回の訪問が中朝関係の発展を立派に発展するうえで特別に重要な契機になるであろうと述べた。敬愛する最高指導者は、習近平同志が年明けの活動がもっとも多忙を極めるなかでも、忙しい時間を割いて訪問の日程を具体的に立て、細心な関心を払ってくれたことに謝意を表した」

 このように、金氏一行は1月8日というまだ正月気分が抜けていない時期に北京に押しかけたのだが、習氏ら最高指導部が「年明けの活動がもっとも多忙を極めるなか」、金氏ら一行を受け入れたことについて、北京の外交筋は「この1月8日というのは、金氏の36歳の誕生日に当たる。習氏はこのような記念すべき誕生日に、国内の慶祝行事をすべてキャンセルして、中国を訪問したいという金氏の並々ならぬ熱意にほだされたということではないか」と解説する。

 実際問題として、金氏の訪中日程が具体化したのは急だった可能性があり、中国側は年末年始のわずかな期間、金氏ら一行の訪中準備に忙殺されたことは想像にかたくない。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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