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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

活況の不動産投資市場が“下落するとき”…ファンドバブル時と同様の動き

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

 主要先進国が世界経済の歴史のなかでは異常ともいえる低金利政策を採用するなかで、行き場を失ったマネーが世界中の不動産に集中している。結果として世界の主要都市のオフィスビルは10年前と比較して価格が1.5倍から2倍に上昇している。

 世界的に低金利状態が続くと、各国の国債レートは低水準に張り付くため、一定のリスクプレミアムを乗せて投資利回りを判断する投資家は、かなり高値の相場でも不動産に大胆に投資をしてくる。日本でも調達環境は良好な状況にあるので、投資家もアグレッシブに買いに入るというわけだ。

 たとえば、アジアのなかではシンガポールを筆頭に香港、上海、台北など各都市のオフィスビルのキャップレートと東京のそれとを比較して投資家は投資している。日本に中長期的に人口減少や年齢構成の高齢化などの負の要因があることは、あまり気に留めないのだ。

2.不動産投資エリアと対象の広がり

 
 不動産投資の活況はいろいろなかたちで進化を始めている。まずは投資対象エリアの拡大だ。

 全国から人口を集め続けている東京は、不動産投資の対象エリアとしては魅力的だ。しかし多くの投資マネーが東京の不動産に向かったために、都心部を中心に価格が高騰、投資利回りは下がり続けた。たとえば現在の東京都心一等地のキャップレートは3%台にまで低下している。低金利の調達環境を背景に、果敢に投資を行う主体がある一方、リスクの顕在化を嫌って、投資を分散する投資家も出てきている。

 投資マネーは都心3区(千代田、中央、港)からスタートし、新宿、渋谷を加えた5区に、さらにその周辺区など徐々に拡大するが、その後は大阪、名古屋などの大都市圏に戦線を拡大する。

 さらに三大都市圏に加えて地方四市と呼ばれる札幌、仙台、広島、福岡も投資対象としている。これらの都市は同じ地方内から人を集めていることから、そこで発生する住宅やオフィス需要を狙った投資が活発になっているのだ。

 また、投資マネーの一部はリゾートエリアにも向かう。インバウンドはこれまでは東京や大阪、京都といった都市が中心だったが、最近では地方都市や沖縄のビーチリゾート、北海道、長野などのスキーリゾートに加え、温泉や景観の良い観光地にまで触手が伸びている。

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。
オラガ総研株式会社

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