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政治、教育、民主主義…前川喜平氏が指摘する“日本をダメにしているもの”の正体とは?

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※画像:『ハッキリ言わせていただきます!』(集英社刊)

 「日本はここがダメだ」「教育のあり方が間違っている」など、社会の問題や政治に対する批判や意見はSNS等を中心に散見されるが、そうした声は感情や思い込みに左右されて発言されているものも多く、建設的な議論になかなか結び付かない。

 実は日本人は正しく「批判すること」が下手であり、そこには教育や政治構造における根深い問題がある。

 そう指摘するのが法学者の谷口真由美氏と、加計学園問題のキーマンとなった元文部科学事務次官の前川喜平氏だ。対談をまとめた『ハッキリ言わせていただきます!』(集英社刊)の冒頭で、2人は次のように話している。

谷口:社会にはいろいろな角度から見て議論する人がたくさんいないといけない。そのために不可欠なのが「批判」なのです。(中略)だけど最近の日本では、仲が良かったり、お友達だったら批判しない、見てみぬふりをする、なんならかばう、みたいなこともすごく多いじゃないですか。まさに批判の作法がなっていない。好き嫌いの感情はさておき批判する、ということがとても下手ですよね。

前川:それは、学校でその訓練をしていないからですね。最近盛んに言われている「アクティブ・ラーニング」には、そういう訓練をすることも含まれていると思うんです。もともと、ちゃんと議論できるようにしましょう、という話ですからね。
(p15-16より引用)

 前川氏が指摘している問題は、現在の学校教育の現場において、子どもの「主体性」が育たないことをやり続けているということだ。

 例えば、ある教育学者が小学校と中学校の授業を比べ、先生が話している時間と子どもが話している時間の割合をストップウォッチで計って調べた。そこで、小学校の授業は子どもが話している時間が長く、中学校の授業は先生が話している時間が圧倒的に長いことが分かったという。

■民主主義は「コストカット」の波に巻き込まれている?

 中学生ならば、自分で考える力、批判する力、「おかしなものをおかしい」と言える力があるはず。しかし前川氏は、学校教育の前提として、いまだに子どもたちが「無権利者」であり、発達途上で十分ではないという考え方をうまく使い、意見表明権を否定していると指摘する。

 子どもたちに意見を表明させず、先生が話し続ける。多感な思春期の時期に意見が言えなくなってしまうと、成人しても、よほどのトレーニングをしない限り、意見を表明することが難しくなってしまう。

 これは民主主義の根幹に関わる問題だろう。「上下関係は絶対のもの」という考えが当たり前になってしまうと、どんな理不尽であっても、その理不尽に対して声を上げづらくなってしまう。

 また、谷口氏は誰もが声を上げられる民主主義は「面倒くさい」ものだとも語る。何故なら、手続きがややこしく、誰かがスパッと決めて「右にならえ」で動くよりも効率が悪いからだ。

 確かにビジネスであれ、プライベートであれ、現代は「コストカット」が良しとされている時代だ。しかし、谷口氏は「民主主義の社会で生きているからこそ支払うべきコストを、やたらと過敏にカットしようとする人たちがおられる」(p.34より引用)と指摘する。

 日本人はもともと村社会的なコミュニティを形成してしまう傾向にある。「みんな同じ」「みんな一緒」になりやすく、逆にそこから外れると「村八分」状態になってしまうこともある。

 前川氏は「学校もそういう文化を持っている」と話し、「一人ひとり違っていいんだということを認めない社会は、非常に危ない」「みんながひとつの色に染まるようにするんだという圧力が常に政治の世界からかかってきて、それが今、道徳教育で非常にあらわな分かれ道になっています」(p.38-39より引用)と危惧する。

 ◇

 谷口氏と前川氏が本書を通して主に問題としているのは「政治」と「教育」だ。この2つはいずれも日本の未来を形づくるものである。そこに対して正しく批判がなされることは、日本の社会がより良くなる上で重要なことだ。

 ただ、社会に対する批判を上げようとも、最後は「何も変わらない」ことに疲れてしまうかもしれない。それに対し、谷口氏は「主権者たる意識は本来社会全体で背負わないといけないのに、批判している人だけが背負って、自分だけ取り残されている感があるからしんどくなるんだと思います」(p.210-211より引用)とその問題点を提示する。

 誰もが声を上げることができるのが民主主義。黙って見過ごすわけにはいかない問題たちとの「向き合い方」の例を2人が見せてくれる一冊である。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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