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蜂の巣状の空洞構造体、人体に近づけると得体の知れない不快感と、有益な効果

文=水守啓/サイエンスライター
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天才昆虫学者ヴィクトル・S・グレベニコフ博士

 ロシアのノボシビルスク郊外の農業科学アカデミーには、こよなく自然を愛し、芸術の才能にもあふれた昆虫学者ヴィクトル・S・グレベニコフ教授がいた。彼は自然の造形物だけでなく、人工的な構造物が生み出す「空洞構造効果」を発見しただけでなく、1988年には、ある昆虫のキチン質殻に「反重力効果」があることを発見した。そして、反重力が作用する重力場に存在する物体は、完全または部分的に視覚できなくなるか、ゆがんで見える現象も発見した。

 この発見に基づいて、彼は最高で(理論上)時速1500kmというスピードで飛行可能な反重力プラットフォームを製造した。そして、1990年以来、彼は高速移動のために、その装置を利用してきたという。

蜂の巣状の空洞構造体、人体に近づけると得体の知れない不快感と、有益な効果の画像1

 この話は、代替科学の研究者である筆者が2007年に拙著『超不都合な科学的真実』(徳間書店)において紹介して以後、日本中に広まったので、ご存じの方もおられるのではなかろうか。本稿では、まず「空洞構造効果」について触れることにしたい。

研究の発端

 グレベニコフ教授は、自然のなかで観察を行うために昆虫保護区等でキャンプして過ごすことが多かった。ある夏の日、彼はカミシュロボ渓谷にある湖へと続く草原にいた。そこで夜を明かすつもりで、彼はコートを下に敷き、バックパックを枕にして草原で横になった。

 眠りに落ちようとすると、突然目に閃光を感じ、夜空に光が走っているように感じられた。口の中では金属的な苦さを感じ、耳鳴りもした。心臓の鼓動が激しくなり、強い不快感に襲われた。彼は起き上がり、草原を下って、湖畔まで行ってみた。すると、まったく異常は感じられず、不快感も消えた。どうしたことだろうか?

 だが、湖畔から離れて、寝床に近づくと、また同じ不快感が襲ってきた。その場所には、地下にたくさんの蜂の巣があった。もちろん、蜂が襲ってくるわけではなく、皆目理解できなかった。とはいえ、彼はその夜を蜂の巣の上で過ごした。そして、夜明け前に頭痛とともに目を覚まし、彼は自宅までヒッチハイクして戻った。

蜂の巣状の空洞構造体、人体に近づけると得体の知れない不快感と、有益な効果の画像2 その後、グレベニコフ教授は何度か同じ場所を訪れたが、やはりある場所に来るといつも不快感に襲われた。その不快感の原因を理解できたのは、数年が過ぎてからのことであった。あのカミシュロボ渓谷の土地が農地として開墾され、無残にも泥の山と化した。そこを訪れた彼が手に入れたものは、地中に埋まっていた蜂の巣だった。

 彼はその蜂の巣を研究室に持ち帰り、ボウルの中に入れておいた。ある時、ふとそれを持ち上げようと手を近づけた途端、不思議な感覚がやってきた。蜂の巣からは温かさが感じられたが、触れてみると冷たかった。そして、しばらくすると、あの忌まわしい不快感が甦ってきた。口の中が苦く感じられ、頭がふらついて、気分が悪くなってきたのだ。

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 彼は簡単な実験を試みた。蜂の巣の入ったボウル上を厚紙や金属で蓋をしてみたが、まったくその感覚に違いは現れなかった。温度計、超音波探知機、磁力探知機、電流探知機、放射能探知機、さらには蜂の巣の化学的分析も行ったが、まったく異常は発見されなかった。

空洞構造効果

 グレベニコフ教授は、プラスチック、紙、金属、木によって人工的に蜂の巣をつくってみることにした。そこでわかったことは、不思議な感覚が得られるのは、蜂のような生物が自然につくったから生み出せる現象なのではなく、大きさ、形状、数、配列に依存するということだった。

 蜂の巣のような空洞構造を人工的に作り出し、そのフィールド(場)において植物の生長差を調べてみると、空洞構造のフィールドを利用したほうが生長が早まるという実験結果が出た。そして、植物の根が生える方向は、空洞構造の蜂の巣や人工物から離れる方向に向かうこともわかった。

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 空洞構造のフィールド内に時計や電卓を置くと、正常作動しない現象も発生した。また、空洞構造のフィールドから離れても、距離に応じてその効果が減衰するというわけではなく、何か不可視のシステムがあった。

 さらに、空洞構造のフィールドをどこかに移動しても、たいてい数分間(長い場合は数カ月間)は元の場所で効果を残し、新しく移動した場所で効果を得るのにやはり数分の時間差を要したのである。彼はこれを「幻影」現象と呼ぶことにした。

 グレベニコフ教授が発見した空洞構造効果はロシアでは広く知られているという。ノボシビルスク郊外の農業生態学博物館では、ミツバチの巣を入れた箱を頭上に設置した椅子が展示されており、空洞構造効果を体験できる。

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 頭上10~20cmぐらいにミツバチの巣が入った箱がくるように、椅子に腰掛け、10~15分ほど待つと、誰もが不思議な体験をできるという。ちなみに、ミツバチ以外の蜂の巣を利用した場合は、最初の2~3分間は人に不快感を与え、決して人間にとってポジティブなエネルギーを受け取れるものではないとのことである。

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 ほかにも簡単に空洞構造効果を体験する方法がある。図のように、1枚の紙に10個の折り目を入れて、アコーディオンのように計20面できるようにする。暗い色の紙は避けたほうが良い。それを計7枚つくる。底に置いた紙に時計回りに30度回転させて2枚目を接着剤で固定し、さらに2枚目から同様に30度時計回りに回転させて3枚目を接着固定する。そのようにして、全部で7枚重なったものをつくった後、その上部や下部に手のひらをかざしてみたり、頭上に浮かぶように固定してみる。すると、蜂の巣から得られるのと似た空洞構造効果を体験できる。

空飛ぶ昆虫の繭

 特別な空洞構造効果は反重力効果すら生み出すのだろうか。そう思わせる発見をグレベニコフ教授はしている。

 1981年、ノボシビルスクの郊外で、昆虫用の網を使ってアルファルファを刈りながら、網に入ってきた昆虫、葉っぱ、花などを採取していた時、彼は不思議な体験をした。生綿をビンの中に投げ入れ、蓋をしようとした瞬間、軽い小さな繭(まゆ)が飛び跳ねてきたのだ。

 それは卵形をしており、ビンの中で飛び跳ねていた。繭の中の幼虫や蛹(さなぎ)が自力で飛び跳ねることは不可能なはずだ。しかし、彼の常識を覆し、繭は何度も飛び跳ねてはビンの壁に当たって落下した。

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 あとで、彼はその繭だけを取り出し、自宅に持ち帰って観察することにした。長さ約3mm、幅1.5mmの繭の外側は硬くできていた。光を当てるか、温めると、ジャンプを始め、暗闇では不動であった。3mmの長さの繭が、5センチも飛び跳ねることもあった。しかも、転がりもせず、スムーズに飛び上がったのだ。足があるか、体を曲げることのできる昆虫であれば、それも理解できないわけではなかったが、ただの卵型の物体が、自分の背丈の十数倍も飛び跳ねる理由がわからなかった。また、水平に飛ぶこともあり、その際は、高さ5センチ、距離35センチにも及んだ。これは自らの幅の30倍を超えていた。

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 結局、その蛹から、オスのヒメバチに分類される成虫(Bathyplectes anurus)が誕生した。その幼虫はアルファルファの害虫であるゾウムシに寄生するので、農業にはありがたい存在だった。

 グレベニコフ教授は次のように空想した。

「もし、あの蜂が地球を脱出したいという意志を持っているとしたら」

 翼を持った成虫の蜂は飛ぶことはできるが、高度を増せば空気が薄くなってしまい、その目的を果たせない。だが、繭の中の幼虫では、まったく状況が異なる。もしも、5センチ飛び上がった繭を捕まえて、そこからさらに5センチ飛び上がらせるとする。そして、そこからさらに5センチ飛び上がらせて、延々と繰り返してみたら――。

 だが、グレベニコフ教授の研究成果は空想にとどまらず、反重力プラットフォームの製造に向かうのだった……。

(文=水守啓/サイエンスライター)

※後編に続く

水守啓/サイエンスライター

水守啓/サイエンスライター

「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、リバース・スピーチ分析家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。

著書に『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研プラス)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』、『世界を変えるNESARAの謎』(明窓出版)などがある。

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