ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 日産、1万人超削減、経営危機再び  > 2ページ目
NEW

日産、1万人超削減、経営危機再び…ゴーン時代の“値引き依存”戦略で経営ボロボロ

文=河村靖史/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 業績低迷を受けてリストラに乗り出す。日産は19年度中に4800人を削減する計画を公表していたが、これを6400人に上積みした。さらに20年度から22年度までに6100人を追加で削減する。合計1万2500人の削減は、グローバルでの従業員数の約10%に相当する。また、全世界の生産能力720万台を、22年度までに660万台にまで削減する。グローバルで14の工場で生産ラインの一部停止や、工場を閉鎖する予定。さらに、採算割れとなっているダットサン車や小型車などの生産も打ち切る計画で、グローバルでモデル数の1割を削減する。これらによって工場の稼働率を18年度の69%から86%にまで高める計画だ。

ルノーによる経営統合圧力

 業績不振やリストラを発表しながらも日産は通期業績見通しを据え置いた。第1四半期は「想定をやや下回ったが、第2四半期から第4四半期までに挽回することが可能なレベル」(西川社長)と説明する。しかし、新型車投入まで一定の期間を要することもあって、北米事業の立て直しには時間がかかる。加えて、日産の主力市場である中国の新車需要の低迷、欧州での環境対策の遅れによる販売低迷など、懸念材料は少なくない状況で、先行きは厳しいとの見方は強い。

 こうしたなか、西川社長の経営手腕を疑問視する声も強まっている。側近の1人として長年仕えてきたゴーン氏の不正が発覚してから西川社長の責任を追及する声が高まっていたが、6月の定時株主総会後は落ち着きを見せていた。しかし、業績不振と1万人超の人員削減を打ち出した西川社長の求心力は急速に低下しており、トップの座に居座る西川氏への不満が再燃しかねない状況だ。

 しかも、アライアンスパートナーで日産に経営統合を迫っているルノーの動向も気になる。ルノーの19年1-6月期決算は、43%出資する日産からの持分利益の減少によって純利益がほぼ半減した。日産はこれまで、ルノーよりも販売台数や収益の規模が大きいことで発言力を保ってきた。日産の業績悪化を受けて、ルノーが経営効率化による収益力アップを名目に、再び経営統合を強く迫ってくる可能性は否定できない。

 西川社長は「2年か3年、できれば2年で(業績を)回復させたい」と述べ、日産の経営舵取りに自信を示した。業績不振や人員削減に対する社内の不満、これを機に経営統合を虎視眈々と狙うルノーと、四面楚歌の状態に置かれた西川社長は、トップの座に踏みとどまり続けることはできるのか。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

日産、1万人超削減、経営危機再び…ゴーン時代の“値引き依存”戦略で経営ボロボロのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!