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日本人が知らない“米国での日本食人気”…寿司やカップうどん、もはや日常食に

文=北沢栄/ジャーナリスト
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 米国人の食生活が一段と健康志向を強めている。ニューヨークの大手チェーンスーパーでは、米国で増える一方の小麦アレルギーに対応する食品や有機食材の大きな専用棚を設け、盛んな需要増にこたえる。健康志向食品の長年の課題だった「おいしさの追求」も、米企業の研究努力が実って、小麦を使ったパンなどの本物の味に、“味違える”ほど近づいてきた。

食物アレルギーが急増

 ニューヨーク市クウィーンズにあるスーパー「ストップ・アンド・ショップ(Stop & Shop)」。もともと食に敏感で有機食材の特設コーナーを設けていたが、最近になって「グルーテンフリー」棚を一段と拡張した。グルーテンフリーとは、小麦アレルギーを引き起こすグルーテン(小麦のたん白質)を含まない食品を指す。米国では、小麦アレルギーとは別にグルーテンの摂取で引き起こされるセリアック病(Celiac Disease)と呼ばれる小腸の病気も急増し、治療法がないことから深刻化している。

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ニューヨークの大手スーパーのグルーテンフリー食棚(撮影=筆者)
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ニューヨークの大手スーパーに並ぶ有機食材(撮影=筆者)

 小麦アレルギーは、小麦からつくられる主食のパンやクッキー、クラッカーからしょう油、ドレッシングに至る食品を摂取することでアレルギー反応を突然起こし、皮膚、眼、鼻、喉、肺、腸などに症状が現れる。発症後、小麦やライ麦の入った食べ物は食べられなくなり、食生活に重い支障をきたす。

 先進国で食物アレルギーが増加している原因に、加工食品の添加物や各種保存料、化学肥料や農薬、水質汚濁などによる“複合汚染”が疑われている。

 米国の食物アレルギーの患者数は、現在約1500万人に上ると推定され、うち18歳以下が約600万人と子どもに多い(米非営利団体「Food Allergy Research & Education =FARE=」調べ)。

 食物アレルギーの増加を受け、米国ではアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を含んだ食品に表示を義務付ける法律(FALCPA法)が2006年に施行された。同法により、食物アレルギーの9割を占める8つの主要アレルゲン(小麦、甲殻類の一部、卵、牛乳、魚、ピーナッツ、大豆、木の実)のいずれかを含んだ食品にアレルゲンの表示を義務付けた。その後、食品メーカーが製造過程でアレルゲンを除去するなどリスクの解消が証明できれば、表示が免除されることになった。

一般客からも好評

 食物アレルギーの中で最大の比率を占めるのが、小麦の「グルーテン」に対する免疫の過剰反応。患者数は10年前に比べ1.5倍に急増したとされ、医師の診断から、これまで米国人の1%程度、100人に1人の割合でアレルギー疾患が確認された。実際の数は、その3倍にも上ると見られている。

 日本でも近年、子どもを中心にアレルギー疾患が急増。厚生労働省の調査によると、小中高校生のおよそ20人に1人が食物アレルギーを抱えている。

 前出のスーパーは、農薬や添加物を一切使わない有機食品に加え、「グルーテンフリー」専用棚を拡大した。棚の長さは20メートル余り、高さ約2メートル、棚は通常7段。ここに、グルーテンフリー食をはじめ、発がん性や糖尿病誘発性が疑われる「果糖液糖(High-Fructose Corn Syrup)」の入っていないソフトドリンクや、バター代わりにオリーブ油など植物性油脂を使った菓子やパン、肉の代わりに豆などを用いたミートボールやスパゲティなど、新規開発の健康志向食品を揃える。

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