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エリア51急襲、2百万人参加表明で米軍が警戒態勢…回収したUFO調査&宇宙人拘束の噂

文=水守啓/サイエンスライター
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エリア51急襲で再浮上…米軍、回収したUFO調査&宇宙人拘束の噂 敷地接近だけで身柄拘束の画像1
写真:ZUMAPRESS/アフロ

噂が絶えないエリア51

エリア51では、墜落したUFOを手本にして極秘裏に地球製UFOが開発され、夜間にテスト飛行が行われているばかりか、地下基地には生きた宇宙人もいる。そして、今や米軍は宇宙人テクノロジーを手に入れている……」

 そんな噂の絶えないエリア51は、米ネバダ州南部にあるグルーム・レイク空軍基地の別称である。米政府はそんな陰謀論を否定しているが、厳重な警戒の下、敷地周辺への立ち入りや撮影は一切禁止されている。つい9月10日にも、エリア51に接近したオランダ人ユーチューバーとその友人が不法侵入と違法駐車の罪で逮捕され、執行猶予付きの禁錮1年を言い渡されている(2人は罰金各2280ドルを支払って19日に釈放)。実際のところ、エリア51で宇宙人テクノロジーのリバース・エンジニアリングが行われているのかどうかは不明だが、少なくとも、機密となる最新鋭の航空機が開発されてきたのは事実と思われる。

 噂の発端は、エリア51で勤務していた物理学者ボブ・ラザー博士が1989年にテレビ番組で告白した内容だった。彼は、エリア51において、墜落・回収されたUFOの反重力推進システムを解明する任務に就いていたという。そして、頭でっかちのグレー・エイリアンが白衣を着た2人の男に挟まれて立っていたのを目撃したと証言したのだ。

 こんな爆弾発言は瞬く間に世界を駆け巡り、その内容は日本のテレビ番組でも大きく取り上げられた。記憶にある読者も多いのではあるまいか。以後、近くを走る州道375号線は「ETハイウェイ」と名付けられて観光化し、エリア51はUFOのメッカとして、常に注目を浴びてきた。

エリア51を急襲?

 今年7月、ある若者がそんなエリア51にナルト走りで突入しようとフェイスブックを通じて呼びかけた。日時は、9月20日の午前3時(太平洋夏時間)。内容は、「全員、エリア51のエイリアンセンター観光アトラクションに集合し、入場を調整する。(日本のアニメの)NARUTOのように走れば、軍側の弾丸より早く走れる。エイリアンたちに会おう」というものだった。

 BBCの報道によると、冗談半分のこの呼びかけに対して、200万人以上が参加を表明。この事態を受けて、米空軍は異例に警戒態勢を強化するに至った。米空軍報道官は「(エリア51)は米空軍の野外訓練場であり、誰であろうと米軍が訓練している場所に訪れないよう警告する。アメリカとその財産を守る準備はできている」とワシントン・ポスト紙の取材において表明した。また、フェイスブック側もそのページを削除し、イベントを企画した若者マシュー・ロバーツ氏のもとには、コミュニティーの規範に反するとして削除した旨の通知が届いたという。

 そんな対応策が効いたのか、当日、当局が恐れていたほどの人々が集結するようなことはなかった。地元のリンカーン郡保安官事務所によると、エリア51の周辺地域に現れた人々の数はおよそ3000人。エリア51のゲート前にはわずかに70人程度だった。また、飲酒と公然猥褻による逮捕者が2人、接近による拘留が1人、その他、数件の逮捕者があったものの、実際に集まった人々のほとんどは面白半分の見物人で、行儀のよい人々ばかりだったという。

庶民が主役になれる時代は逆に危うい?

 だが、もちろん、これによって米軍がUFOやエイリアンの存在を隠蔽しているという噂が消えたわけではない。

 最近では、5月にアメリカ国防総省の報道官が「未確認航空現象(UAP =Unidentified Aerial Phenomena)」に触れながら、すでに打ち切られたとされてきた「UFO調査」が実は続けられてきたことを認めている。9月19日には、ニミッツ航空母艦から発進したF/A-18スーパーホーネットが2004年と2015年に追跡・撮影した3件の物体が本物のUFO、すなわち「未確認航空現象(UAP)」であったことを米海軍報道官は認めている。

 おそらく、米当局がUFO・エイリアンについて何かを隠蔽していると考えるアメリカ国民はまったく減っておらず、むしろ増えていると考えられる。去る8月には、民主党から大統領選に出馬を表明しているバーニー・サンダース上院議員は、当選したら地球外生命体に関するすべての情報を公開すると発言しているほどである。

 エリア51を急襲するイベントは、当初は冗談だったとはいえ、結局のところ抑え込まれたようなものである。急進的な陰謀論者だけでなく、ごく普通に疑問を抱く人々の不満もまったく解消されていない。いずれ、なんらかのかたちで当局にさらなる情報公開を求める動きは高まるだろうが、今回の出来事を通じて、少々気になる面も露呈した。

 今回のイベントは、UFOに詳しい研究家やジャーナリストによる企画ではなく、素人の思いつきによる発言がきっかけとなっていた。そんな遊び半分の動機に対して、200万人もの同調者が現れたのである。

 インターネットが普及して20年が経過したが、時代とともにハードのほうはデスクトップPCからノートPC、そしてスマホやタブレットのように手軽になり、ソフトのほうは専門家から素人が主役のカジュアルな情報発信が主流となった。SNSにおける「いいね」といった表面的な意志表示は、実のところ、まったくいい加減である一方で、遊び感覚の軽いノリによる流行が世界経済を動かしつつあるのも事実である。

 このように素人が主役となる傾向は、フェイクニュースの蔓延を許すだけでなく、事実関係をしっかり学んでいない人々が、同じく専門家ではない人々による誤った投稿内容に同調し、事実に反する情報や誤解が拡散することを許すようにもなっている。そして、この傾向は年々深刻化し、我々の社会は馬鹿馬鹿しいことに簡単に振り回される危うさを見せつつある。本来であれば、庶民が主役になれる時代が到来したことを歓迎すべきなのだろうが、それを素直に喜べないのは筆者だけであろうか。
(文=水守啓/サイエンスライター)

水守啓/サイエンスライター

水守啓/サイエンスライター

「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、リバース・スピーチ分析家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。

著書に『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研プラス)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』、『世界を変えるNESARAの謎』(明窓出版)などがある。

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