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三浦展「繁華街の昔を歩く」

渋谷、知られざる驚きの歴史…独自の発展を遂げ続けた“秘密”

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『渋谷の秘密』(三浦展/パルコ)

1.渋谷の都市史

 渋谷パルコが建て替え中である。2019年11月の再オープンを記念して、パルコ出版では『渋谷の秘密』という本を出す。史上最大規模の再開発が進行し変貌を続けるハイパーシティ渋谷を気鋭の研究者、専門家が分析するという、けっこう学術的な本だ。渋谷の都市史と言ってよい。

 執筆陣は豪華だ。まず建築家・隈研吾と東京R不動産の馬場正尊の対談。また長谷部健・渋谷区長と渋谷で最先端のビジネスを展開するロフトワーク代表の林千晶の対談も収録。

建築家・隈研吾と東京R不動産の馬場正尊の対談では、不完全な街を繕いながら育てる視点が提起された(撮影:大森克己)

 都市史としては1964年のオリンピック前まであった米軍宿舎ワシントンハイツの歴史(秋尾沙戸子)、外食から渋谷を振り返った「ファッションフードが生まれては消える街」(畑中三応子)、ビームスなどのファッションビジネス史(成実弘至)、その他パルコ社員自身による「街の音楽とライブハウス盛衰史」「ガーリーカルチャーとストリートキャンペーン」「失われた映画館たち」などの論考も載る。社員の中にこうした文化史が書ける人材がいるところが、パルコのすごいところだ。

 渋谷というと今は若者のファッションや音楽の街だが、昔は闇市、露店もあり、愚連隊やらやくざやらがたくさんいたそうだ。そのへんをキャバレー王の福富太郎の著書『わが青春の「盛り場」物語』(河出書房新社)から転載している。また、露店から生まれた飲み屋街・のんべい横丁については大森克己による全店撮影を敢行と、編集サイドのやる気が伝わる内容だ。

2.ラブホテル街・円山町の知られざる歴史

 三業地については遊廓、温泉地の研究者として知られる松田法子による詳細な論考が載っているので、紹介しよう。同論文によれば、円山町は今はラブホテル街だが、大正2(1913)年に三業地指定を受けた花街で芸者さんがたくさんいた。戦後、建物の一部を部屋貸しにする旅館を営み始め、64年の東京オリンピックの頃には、連れ込みに特化した宿が多数できたらしい。そのうちに建物が木造から鉄筋コンクリート造などに更新され、現在のようなホテル街が形成されたのだという。

まだまだ情緒のある風景が残っている円山町

 また、円山町は昔は「荒木山」といったそうだ。だが花街として“荒木山”では粗野な感じがするので、京都祗園の芸者町にほど近い円山、もしくは長崎の丸山遊廓を連想させる名をつけたという。

 では荒木山の“荒木”のルーツはというと、佐賀藩鍋島家の家扶(執事)であった荒木寅太郎なる人物が、この一帯を鍋島家から受け継いだことにちなむというから奥が深い。

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