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武蔵小杉タワマン停電、売却の動き出始める…豊洲など湾岸タワマンの危険性指摘も

文=編集部
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 タワーマンションの周辺は、生活排水と雨水を同じ排水管で流す「合流式下水道」となっている。大雨の場合、生活排水は雨水と一緒に多摩川の放水口で放流されるのだが、今回は台風の影響で川の水位が想定以上に上昇。川の水位より高い位置に設置してあった放水口が水没し、川の水が逆流してマンホールから噴き出した。

 放水口には水門が付いていて、川と市街地の排水を遮断することもできた。ただ、水門を閉めれば川の水は逆流しないが、市街地の排水は不可能になり、結局、下水がマンホールからあふれ出ていた可能性もある。あの時、誰がどうのように対応すればよかったのか。そもそもタワーマンション建設を含む都市計画は本当に妥当だったのか。今後も検証は続いていくだろう。

 検証や復旧が長引く中、神奈川県内の不動産関係者は次のように話す。

「武蔵小杉のタワマンオーナーから『部屋を売りたい』との相談が出始めているようです。終の棲家としてではなく、もともと資産運用目的で購入した一部のオーナーは、一連のトラブルと報道の影響で、期待していた価格まで値上がりしないことを見越して、売り抜けようと考えているようです」

それでもタワマン価格に暴落はない

 今回の事態を受けて、武蔵小杉以外の海沿いや川沿いのタワーマンション人気に陰りが出る可能性はあるのか。

 首都圏では、豊洲やお台場、晴海、みなとみらいなど海沿いのタワーマンションが人気を集めてきた。だが武蔵小杉の一件で、こうしたマンション群の危険性を指摘する報道もある。影響は今後、どこまで広がるのか。タワーマンションの防災機能と合わせて、榊マンション市場研究所の榊淳司氏は次のように解説する。

「今回、武蔵小杉で起きた内水氾濫はかなり予想不能な事態であったと思います。また、被害に遭った2棟が他の9棟とどう違ったのかが検証できていません。同じことが豊洲や晴海で起こる、というのは乱暴な議論かと思います。確かに湾岸は高潮や津波があり得ます。いずれも想定は3メートル程度で、マンションによっては1階が冠水して電気室やEVが使用不能、あるいは停電状態になる可能性は十分に考えられるでしょう。ただ、これは土嚢などで防げる範囲かと思います。

 武蔵小杉での売り出しは、私が不動産流通推進センターの不動産流通標準情報システム(レインズ)で確認した限り増えていません。そもそも武蔵小杉の人気のピークは、2018年にJR武蔵小杉駅の朝の通勤ラッシュが問題になるまでだったと思います。価格は台風前から天井感があったので、今後は徐々に下がるでしょう。しかし、一般消費者が暴落と感じるレベルにはなりにくいと思います。『3年経ったら2割下がっていた』は十分にあり得ます。

 今回、私の予想以上に武蔵小杉のタワマン浸水の話題が取り上げられています。被災したタワーマンションの住民らが情報を統制した影響も大きいでしょうね。タワマンや武蔵小杉は今後、懐疑的に見られやすくなります。でも、そんなに長くは続かないと思いますよ」

 住まいの購入は人生最大の買い物になることが多い。災害が他人事ではなくなった現在、一層慎重な家探しが求められている。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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