過去最大クラスとされる台風19号が、静岡県の伊豆半島に上陸している。東京都江戸川区や神奈川県横浜市中区など多くの地域では、自治体から避難勧告が出されている。
特に今回の台風は記録的な大雨を伴っているのが特徴で、すでに気象庁は静岡・神奈川・東京・埼玉・群馬・山梨・長野・栃木・茨城・新潟・福島・宮城に大雨特別警報を発令。たとえば神奈川県箱根町では、12日の降雨量が午後7時までの段階で870mmとなり、1日の雨量としては全国の観測史上最多となった。
大雨の影響で警戒されているのが、河川の氾濫だ。すでに静岡県の牛渕川や、埼玉県の江川・入間川・不老川・新河岸川などが氾濫。東京都などを流れる多摩川と荒川にも氾濫危険情報が発表され、警戒レベル4「全員避難」の「いつ氾濫してもおかしくない状態」となっており、氾濫が起これば多くのエリアで浸水被害が生じることになる。たとえば海抜ゼロメートルの場所が7割を占める江戸川区は、大規模水害が起きると、ほぼ全域が1週間以上にわたり浸水すると指摘されている。
今回、水害が拡大している背景について、新聞の元科学部記者はいう。
「河川の氾濫は台風が直接的な原因ではなく、それに伴う大雨や強風に伴い波が高くなること、さらには河川が流れ込む海の水位が高くなることなどが直接的な原因です。特に今回の台風が“最悪のタイミング”だといえるのは、14日の満月を控えた時期だからです。
一般的に、満月の時期は海の満潮時の潮位が、それ以外の時期よりも高くなります。ただでさえ台風による荒波の影響で海面が高くなるのに加えて、高潮が発生するため、より海面の高さが上昇し、河川から水が流れ込みにくくなってしまいます。実際に現在(12日18時時点)、多摩川と荒川が流れ込む東京湾の海面は満潮で、通常時より約60cmも潮位が高くなっています」
引き続き、自治体や行政機関が発信する避難指示や警戒情報などに注意が必要だ。
(文=編集部)