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石徹白未亜「ネット依存社会の実態」【アプリ四季報 2019年7~9月】

消費増税と台風の10月、「ファミペイ」とヤフー「防災速報」の利用者が激増した

構成=石徹白未亜/ライター
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ファミペイ – ファミリーマート」より

 ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。

 本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。

 前編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2019年第3四半期(7~9月)を中心にアプリの動向を聞いた。

ポイント還元の対象店を探す人が急増?

――期がずれてしまうのですが、19年10月は「消費税が10%」になり、12日前後にかけて日本に上陸した台風19号は各地で大きな被害を出しました。この2つの大きな出来事のときに、どのようなアプリが使われていたのでしょうか。

日影 「App Ape」には、特定の日時を比較し、利用が伸びたアプリをランキングにする機能があります。まず「消費税10%」ですが、図1が、消費税が10%になった10月1日において、3日前と比較して利用が伸びたアプリのランキングになります。

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図1

 1位は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会による「ポイント還元対象店舗検索アプリ」です。約200%増と、3倍見られていますね。消費増税に伴うポイント還元は中小小売店でのキャッシュレス決済時に2%もしくは5%を還元するというもので、目玉施策のひとつです。

――「5%」のポイント還元は大型チェーン店などではない、いわゆる“地元のお店”系が多いため探しにくく、「ポイント還元対象店舗検索アプリ」では、それが地図として表示されますよね。

日影 次点は、ファミリーマートのペイメント「ファミペイ」です。こちらに限らず、上位はキャッシュレスのペイメントアプリ関係が多く占めていますね。

「ファミペイ」は7月まではペイメント機能を持っておらず、名前も「ファミリーマートアプリ」でしたが、ペイメントを始めた7月から利用者数を大きく伸ばしました。ポイント還元の対象になるので、各社が急ピッチで態勢を揃えてきた背景もありますね。

――セブン-イレブンのペイメント「7pay」は、7月のリリース直後に不正アクセスによりセキュリティの脆弱性が発覚し、9月末でサービス終了となってしまいました。業界大手のこの顛末でキャッシュレス化の流れに水を差すかなと思ったのですが、こうして「App Ape」のデータを見ると、キャッシュレス化の流れは順調と言えますね。

日影 国がキャッシュレス決済にインセンティブを設ける形で推奨し始めたというのは、ひとつの潮目になったかと思います。今までのペイメントの置かれた状況とは異なったフェーズに上がった感じはしますね。

 あと、これは考え方にもよるんですが、ペイメントはMAU(月に一度以上利用したユーザー数)を追いかけなくてもいいと思ってるんですよ。それよりも「ペイメントとして使う可能性のある人」をどれだけ蓄積しているかが大切なんです。

――使っていなくても、アプリをスマホにダウンロードしているかが重要だと。

日影 はい。一度スマホに入れておいてもらえれば、その後でプッシュ通知などのいろいろなマーケティング活動で呼び起こすことができますから。

――ペイメントに限らず、アプリは提供事業者にしてみれば「ダウンロードしてもらう」「起動してもらう」と、さまざまな段階がありますよね。

日影 ゲームアプリの場合、さらに「ゲームのルールに習熟してもらう」という段階もありますね。そして、それらと平行して新しいお客さんを入れていかなくてはいけないですから、さまざまな「段階」がパラレルで進んでいるんです。

ヤフー「防災速報」の利用が5倍増に

――10月12日前後にかけて日本に上陸した台風19号は大きな被害をもたらしました。首都圏のほとんどの交通機関が事前に大幅な計画運休を発表するなど、その事前対応もかつてないものでした。台風19号時には、どのようなアプリが見られていたのでしょうか?

日影 図2は、「App Ape」による、台風19号が首都圏に上陸していた10月12日において、3日前と比較して利用が伸びたアプリのランキングです。1位になったヤフー提供の「防災速報」は約400%増と、3日前の約5倍見られています。「防災・気象で困ったらヤフーを見よう」と、ヤフーが生活インフラとして使われていることがわかりますね。なお、ヤフー自体も「防災速報」や「ヤフー天気」で課金しようとは考えていないんですね。体力がある企業だからできる、ということもありますが。

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図2

――2位の「NHKニュース」も納得の結果ですよね。

日影 「NHKニュース」アプリはテレビの同時配信を行っており、この配信を見たい、というニーズもあったのかもしれません。

 3位の「Windy.com」は世界中の風の動きを表示しているシンプルなアプリですが、自分のいる場所の風速や風向きなどが1週間ぐらい先まで見られます。また、6位の「頭痛ーる」ですが、台風など気圧に変化が起こると頭が痛くなる方もいますよね。こちらも“台風関連”で伸びたアプリではないでしょうか。

「Windy.com」がまさにそうですし、天気アプリの多くもそうですが、「都道府県」といった大まかなくくりではなく、今自分がいるところの「ピンポイント」の天気がわかるものが、今は多いですよね。全体的な状況についてはテレビやラジオで把握し、自分たちのいるところの状況をピンポイントでアプリで見ていた、という方が多かったのではないでしょうか。

石徹白未亜/ライター

石徹白未亜/ライター

ライター。得意分野はネット依存・同人文化(二次創作)・ファッション。ネット依存では自身の体験をもとに書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)を執筆、NHK『ハートネットTV』、フジテレビ『バイキング』、朝日新聞、週刊文春等メディア出演多数。個人に向けたスタイリストとしても活動しており、著書に男性スーツ本『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。』(CCCメディアハウス)。ユニ・チャーム株式会社でのスーツ着こなしセミナーなど、ファッション研修も多くの実績あり。おうち大好きインドア派。同人誌と串揚げとしめさばとビールで生きてます。
●「主なプロデュース作品
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『自分のイヤなところは直る! 』牧野秀美(東邦出版)
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