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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

採用でAI活用が本格化、就活の新常識…今、企業が“本当に採用したい”人材像

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

言われたことだけをやる人材を企業は欲していない

 会社に入れば専門職採用でもない限り、部署異動といったジョブローテーションは必須なので、スタートから自分で間口を狭める姿勢は、企業にとって印象はよくないということだろう。そして、いざ社会人として世の中に出たときの心構えを有馬氏はこう話す。

「言われたことをただ行うだけでは、企業にとって有用な人材とは言えないでしょう。仕事を覚えるまでは言われたことを間違わずに実行できることが大切ですが、それ以降は自分の創意工夫を付け加える用意が常にあることが重要です。職場において機転が利く行動をするには、確かにセンスも必要ですが、起こることを想定して何を求められるのかを事前に予想できる思考力が求められます。臨機応変な対応ができれば、小さなトラブルならばある程度補うことが可能ですし、使う立場の上司も安心して仕事を任せることができると感じてくれるでしょう」(同)

 最近はブラック企業の社会問題などにより、全体として経営者などの企業サイドよりも労働者の立場が強くなっているが、これを笠に着て「働いてあげている」という意識の労働者が増えては、会社も社会全体も停滞してしまうだろう。

「長い拘束時間やサービス残業、休日出勤は見直されてしかるべきですが、『会社にいる時間だけが自分の仕事なのだから、後のことは知ったことではない』というスタンスの社員は企業にとって魅力的な人材とは言えません。オフの時間にもビジネスのヒントを探るような心の余裕があると、与えられた仕事も別角度から眺められると思います。これから社会へ向けて一歩を踏み出す就活生たちは単にマニュアル化されたスキルを磨くだけではなく、仕事を通して“自分らしさ”を伝える工夫を意識してほしいですね」(同)

 現状、就活戦線は「売り手市場」と言えるかもしれない。だが、社会に出ていつまでもゲスト扱いされるわけではない。来るべき雇用縮小に向けて、今のうちに自分自身に労働者として、人間として魅力を付与する意識を持つことが大切なのだろう。

(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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