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地方の国公立大学も存亡の危機…激変する全国大学教育

構成=長井雄一朗/ライター
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千葉大学の総合校舎1号館(「Wikipedia」より/掬茶)

 2020年度からセンター試験に代わる「大学入学共通テスト」がスタートするが、英語の民間試験活用が延期され、さらに国語と数学に導入される記述式問題についても延期されようとしている。

 一方で、少子化や景気低迷の影響を受けて大学教育も揺れている。苦境にあえぐ地方の私立大学が増える一方で、国公立大学の人気が高まる動きもある。特に地方の国立大学の躍進を予見するのが、『「地方国立大学」の時代 2020年に何が起こるのか』(中央公論新社)の著者で教育ジャーナリストの木村誠氏だ。大学教育の現状と今後の見通しについて、木村氏に聞いた。

平成の30年間で様変わりした大学のあり方

――平成時代の大学を振り返って、いかがですか。

木村誠氏(以下、木村) 平成の30年間、文部科学省は大学の新設を次々と認可してきました。国立、公立、私立をあわせて、1986年(昭和61年)には465大学でしたが、2018年には782大学に増えています。この間、18歳人口は微減でしたが、その一方で大学進学率は年々上がってきました。18年度の大学・短大進学率は過去最高の57.9%を記録しています。

 ただし、大学が増える一方で平成が終わり、18歳人口の大幅減少時期に突入し、大学進学率が上昇しても大学進学者数は減少していくという局面に入っています。日本私学事業団の調査によると、私大の約4割が定員割れになっており、大学経営も赤字が増え、まさに岐路に立たされています。

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『「地方国立大学」の時代 2020年に何が起こるのか』(中央公論新社/木村誠)

――地方の大学の状況は、どのように変わったのでしょうか。

木村 昭和後期から、地方自治体が既存の学校法人と協力し財政支援をする「公私協力方式」が、地方の私大を中心に広がっていきました。具体例としては、苫小牧駒澤大学、石巻専修大学、いわき明星大学などです。しかし、苫小牧駒澤大は学校法人駒澤大学が経営から手を引き、中国と関係が深い学校法人京都育英館に18年に無償譲渡され、21年には校名が変更される予定です。有名私大の系列でも思ったように志願者が増加せず、平成に入ると、地方自治体の求めに応じて地方に系列大学を新設するケースが減少しました。

 それに代わって、実質的に公設でありながら法的には民営(私立学校法人)という「公設民営方式」の私大が台頭します。しかし、これも結局は失敗に終わります。地方の進学校は地元の国公立大への合格を重視する傾向があります。また、公設民営方式の大学は学費が東京の私大並みに高く、私学で歴史も浅い点が嫌われたのです。

 そこで、非進学校からの推薦枠を拡大しましたが、この動きも逆に進学校生徒から嫌われ、さらに地元の受験生から支持されなくなるという悪循環が生まれ、結果的に定員割れするケースが増えました。実質的には公設民営である萩国際大学のように民事再生法適用を申請したり、公私協力方式の愛知新城大谷大学、三重中京大学のように閉学を余儀なくされたりする例も出始めています。

 また、公立化で起死回生を図った私大もあります。代表例が、福知山公立大学(旧成美大学)や実質的に公設民営である山口東京理科大学などです。

『「地方国立大学」の時代 2020年に何が起こるのか』 平成に大きく変わった国立大学。少子化の影響に加え、2020年には入試改革を控えるなど、この先さらに激変が起こるのは間違いない。そこで教育ジャーナリストがここまでの歩みと最新状況を整理。特に「地方」から「世界」の大学になるべく広島大学が進める改革を追い、その未来を提言する。データが教える各校の「真の実力」とは? 大学は高校生の夢をどこまで叶えられる? 地方消滅目前、日本の危機を地方国立大学が救う! amazon_associate_logo.jpg

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