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山口敬之氏、やたらと人前で安倍首相に電話…伊藤詩織さんの件で直接連絡は不要だった可能性

文=編集部
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伊藤詩織さん(AP/アフロ)

 東京地裁は18日、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に対し、酩酊状態で意識のないフリージャーナリストの伊藤詩織さんに「合意がないまま性行為をした」などとして慰謝料など330万円の支払いを命じる判決をくだした。山口氏は19日、外国特派員協会で会見し、改めて伊藤さんの主張に反論した。

 会見でとりわけ質問が集中したのは、山口氏が伊藤さんに対する女性暴行容疑で逮捕、起訴されなかったことに関して「首相官邸の働きかけがあったかどうか」だ。山口氏は官邸キャップ、ワシントン支局長などTBSの「政治」畑を長らく歩み、2016年5月末にTBSを退社。同年6月に安倍晋三首相をフォーカスした著書『総理』(幻冬舎)を出版した経緯がある。このため、「週刊新潮」(新潮社)や「週刊ポスト」(小学館)などが、今回の伊藤さんの事件を含め、山口氏と官邸、警察幹部の癒着を指摘している。

「政治家、警察、官僚、誰にもお願いはしていない」

 会見では、ジャーナリストの江川紹子氏が次のように切り込んだ。

「官僚とか政治家にはまったく何も頼んでいないと仰いましたが、北村さんという方に『週刊新潮』からの質問を転送されています。これが内閣情報官(当時)の北村滋さんではないかと言われています。もし違うのであればどの北村さんでしょうか」

 山口氏は釈明する。

「北村さんにメールを送ったかどうかすら認める必要もないと思うんですが、メールは送っています。これは事実です。

 これは、私の父が弁護士をしておりまして、父は去年亡くなったんですけれども、その関係者の北村さんという方。知人といいますか、父の友人の方です。これ以上はその方にご迷惑がかかるので申し上げませんが、この北村さんは、北村滋さんとはまったく別の民間の方です」

 官邸への働きかけに対する質問はそのほかにも多数よせられたが、山口氏はこう否定した。

「私はどの政治家にも警察にも、官僚にも、要するに誰にも何もお願いしていない。それ以上のことは私は何も聞いていない。私の知らないところで何かが起きていたかというのは私がお答えするのは適切ではない。また、それについて、何かが動いたという話を間接的に聞いたことは一切ありません」

日本政界に蔓延する禅問答

 今回の会見を踏まえて、キー局記者は次のように話す。

「山口氏はTBSの社員や他社のメディア関係者の前で、何かにつけて安倍総理に電話をかけて、『俺はお前らより、官邸に食い込んでいるんだぞ』アピールをしていました。他の媒体のメディア関係者とも懇意にしていましたし、一部の社はTBS在職中から山口氏自身をネタ元にしてたくさん政界の記事を出していました。多彩で豊富な人脈があったことは事実です。

 一般論ですが、安倍晋三総理や菅義偉官房長官、北村滋国家安全保障局長(事件当時は内閣情報官)、警察庁の中村格長官官房長など今回の事件で取りざたされている政府要人に対して、山口氏が直接連絡を取る必要なんてなかったと思っています。

 政治家や政治記者が誰かをメッセンジャーにするということはよくあります。別のジャーナリストか経済関係者などに、“(山口氏の)近況を伝えること”を頼む。その第3者が、政府関係者に対して世間話風に『山口君がトラブルに巻き込まれてしまったみたいです。彼は良い記者だし、このまま犯罪者にするのは残念です』などと伝えればいい。あとは話の受け手がどのように解釈するのかだけです。

 首相官邸や政治家、マスコミの政治部の禅問答のような対話や取材は今に始まったわけではありません。仮に山口氏と官邸の間になんらかの阿吽の呼吸があって何かが動いたとしても、『(当人たちは)何も言っていない』『何も頼んでいない』ということは多々あり得ます。

 結局は記者倫理の話です。山口氏が不偏不党な記者だったのかどうか。取材相手や伊藤さんを含むさまざまな関係者に対して、ひとりの人間として紳士的かつ適切な対応をしてきたのかどうか。事件の違法性の有無もさることながら、その点が疑問だらけだからこそ、山口氏に対する疑惑が尽きないわけです」

「日本の秘められた恥」

 日本であまり注目を集めなかった英BBCのドキュメンタリーが、再注目されている。番組名は『日本の秘められた恥』。16年6月28日に放送された。伊藤さんにフォーカスした作品だ。

 番組では、山口氏が事件当時、TBSのワシントン支局長で、プロデューサー職を伊藤さんに用意するなどと言って夕食に誘い、泥酔している伊藤さんに対して性行為に及んだ経緯を説明。山口氏と安倍晋三首相との関係や、首相官邸の介入の可能性に言及しつつ、事件当時の記憶に苦しむ伊藤さんの姿を赤裸々に描いた。山口氏の「伊藤氏が泥酔していたため仕方なく宿泊先のホテルへ招いた」「性行為はあったが合意の上だった」という主張も伝えた。

 BBCや米CNNなど海外メディアはこの問題を積極的に報道してきた。一方で、東京地裁の判決を経て、当初は及び腰だった日本の主だった新聞社やテレビ局も大きくクローズアップして報じつつある。明らかに日本のマスコミが出遅れた感は否めない。それはなぜなのか。いずれにせよ「日本の秘められた恥」が世界中に知れ渡ったことに変わりはない。

(文=編集部)

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