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「子年」「庚子」の今年、中国と日本で歴史的混乱や大騒乱発生の可能性?

文=井戸恵午/ライター
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ハツカネズミ(「Wikipedia」より)

 謹賀新年。

 今年は子年、十二支の1番目に当たる。この「子」とはネズミを指すが、もともとは乳児の形をかたどった象形文字であり、物の名に添える接尾語として「小さい」の意を表すことが多い。ネズミを意味するようになったのは、子だくさんであることや小さいところから来ているのかもしれない。

 また、今年の干支は「庚子」(かのえね)となる。本来「干支」とは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の十干と「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の十二支を組み合わせたものである。同じ「干支」は60年に一度めぐってくることになり、60歳を「還暦」と称するのは生まれた干支が再びめぐってくるためである。

「子」と言えば思い出されるのは、『宇治拾遺物語』に所収されている「小野篁広才の事」の逸話である。小野篁は平安時代の貴族であり、文人としても知られる人物。あるとき、嵯峨天皇が小野篁を呼び「子子子子子子子子子子子子」を読めるかと問うたところ、「猫の子子猫、獅子の子子獅子」と読んでみせたという話で、史実性はともかく、かかる言葉遊びがあったことがわかるという点で興味深いものではある。

中国で大きな騒乱が起きる可能性

 さて、それでは「庚子」とはどのような年になるのであろうか、試みに、過去の歴史からその傾向を探って本年の動きを占ってみよう。

 まず想起されるのは中国の混乱である。特に内乱や戦争など大きな動きが庚子の年には多く発生した。まず西暦40年、南越(現在のベトナム)において「徴姉妹の乱」が発生している。これは、当時の後漢の支配を受けていた同地域において、徴側・徴弐の姉妹によって起こされた乱である。派遣された後漢の将軍・馬援によって鎮圧されてしまうが、徴姉妹はベトナムにおける民族的な英雄として現在も尊崇を集めている。

 その後漢も西暦220年、当時の献帝が魏王・曹丕に禅譲、すなわち皇帝の位を譲って滅亡している。さらに60年後の西暦280年には、その魏を乗っ取った晋によって江南にあった呉が滅ぼされ、いわゆる「三国志」の時代が終焉を迎えており、いずれも庚子の年のことである。また、西暦880年には乱を起こした黄巣の軍が唐の都・長安を陥落させ、皇帝を四川へと追いやっている。さらに西暦1600年には「楊応龍の乱」が発生中と、混乱が絶えない。

 そのなかでも特筆すべきは、西暦1840年の「アヘン戦争」および西暦1900年の「義和団の乱」であろう。19世紀、イギリスは清国に対しインドで製造させた麻薬であるアヘンを販売して巨利を得ていた。このアヘンの害毒は社会問題となっており、清国は全面禁輸を通告、イギリス商人の保有するアヘンを没収し廃棄処分としたことから、イギリスとの間にアヘン戦争が勃発する。

 また、同世紀末に「扶清滅洋」をスローガンとする宗教的結社である義和団は反乱を起こし、北京にあった列強諸国の公使館を襲撃した。時の清国における実力者・西太后がこの反乱を支持したことから、列強との間の軍事衝突、すなわち「北清事変」へと発展してしまう。この2つの戦いに清国は敗れ去り、その結果として「不平等条約」を結ばねばならず、中国は苦難の20世紀を歩むことになる。

 現在、中国内部には民族問題・民主化問題など多くの騒乱の火種がくすぶり続けている。このなかで、昨年の香港デモのような騒乱や地方における蜂起などが発生するのではないだろうか。また、対外関係においても、アメリカとの経済戦争や人権問題などにおいて外圧が加えられてきている。指導者は困難な舵取りを迫られる1年になるだろう。

米大統領選の庚子、日本でも総選挙か

 一方、我が国においても、その後の国の形を決定づける戦いが多く行われている。まず天慶3年(940年)、関東において「新皇」と号して反乱を起こした平将門が鎮圧されているが、これと入れ替わるように、今度は西海において「藤原純友の乱」が発生している。

 さらに、時の平家に抗うべく諸国の源氏が挙兵した治承4年(1180年)も庚子にあたり、その結果、源頼朝によって鎌倉幕府が創建されたのは広く知られるところであろう。また、「天下分け目の戦い」と呼ばれる「関ヶ原の戦い」が発生した慶長5年(1600年)もやはり庚子であり、のちの時代の趨勢を占う、なんらかの“決戦”が起きる可能性を感じさせる。今年も、たとえば東京オリンピック後に衆議院の解散総選挙などがあるかもしれない。

 選挙といえば、庚子の年はアメリカの大統領選挙が行われる年である。西暦1960年にはジョン・F・ケネディが大統領になっており、ケネディ大統領はリベラリストと目される一方で、キューバ危機などの対外危機を経験している。今年は現職のドナルド・トランプ大統領が再選を果たすかが焦点となっているが、いずれにせよ、その後のアメリカの対外政策については注視が必要となるだろう。

 ひとつ前の庚子の年である昭和35年(1960年)には、日米相互協力及び安全保障条約(新安保条約)が調印されたが、これをめぐって激しい学生運動が展開され、犠牲者も出た。また、当時の浅沼稲次郎社会党委員長の刺殺、岸信介内閣総理大臣への暴行など、テロも起きている。庚子の政情不安のなかで、対米外交をめぐって争乱が起きねばよいがと願う。

はやぶさ2が帰還、女性の社会進出に進展も

 また、庚子の年は「到達と帰還の年」でもある。西暦400年、ポリネシア人のヒロがハワイ島に到達したと言われている。また、西暦1000年に「ヴィンランド」に到達したレイフ・エリクソンが帰還を果たした。ヴィンランドとは現在のアメリカ大陸の北東部、ニューヨーク州からメイン州あたりまでのニューイングランド一帯のどこかであると言われている。近年、ニューファンドランド島からバイキングの遺構が発掘されたことから、同地がそれであるという説が有力となった。

 今年はJAXA(宇宙航空研究開発機構)で開発された小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還が予定されており、NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」が海王星軌道近くにある「カイパー・ベルト」の探査を終了する見込みである。海をわたる船は星の海をゆく探査機となり、その舞台と担い手を変えてはいるが、人類の飽くなき探究心は、より遠くへ、未知の領域へと我々を駆り立てていくのであろう。

 さらに、庚子の年は女性の社会進出がより促進される年になるかもしれない。長保2年(1000年)、一条天皇の中宮・藤原定子が皇后、女御・藤原彰子が中宮となった。これは「一帝二后」の初出とされるが、それぞれに仕える女房たちのなかから、「枕草子」の清少納言や「源氏物語」で知られる紫式部など、平安期の女流文学の旗手となる人々が輩出されている。また、時代が下って明治33年(1900年)には女子英学塾(のちの津田塾大学)ならびに東京女医学校(のちの東京女子医科大学)が創立され、女子の高等教育の扉が大きく開かれたのである。

 さて、歴史から「庚子」の年を占ってみたが、いかがだっただろうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦。読者諸氏において、発展の年となる一助となれば幸いである。

(文=井戸恵午/ライター)

井戸恵午/ライター

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フリーのライター。主にWEBメディアで執筆中。

Twitter:@idokeigo

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