早稲田大と慶應大、AO入試拡大で受験生を多面的に評価…同志社も学力重視偏重を見直しの画像1
早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より)

 来年1月から実施される大学入学共通テストで導入予定だった英語民間試験に続き、国語と数学の記述式問題も導入見送りが昨年末に決まった。1月18、19日に実施された最後の大学入試センター試験では、来年から始まる共通テストを不安視して、受験生らの「今回で合格を決めたい」とする姿勢が目立った。他方、共通テストの2つの「目玉」がなくなった結果、あるべき共通テストの新しい仕組みと共に各大学の入試改革像が、検討課題として改めてクローズアップされてきた。

 政府の教育再生実行会議の提言を受け、中央教育審議会(文部科学省の諮問機関)が現行の大学入試センター試験に代わる新テストの導入を提言したのが2014年12月。その際、グローバル化経済に英語力を生かせる英語民間検定試験の活用と、自分で考え判断し、表現する力を評価する国語・数学の記述式問題の採用が盛り込まれた。これを受け、文科省は17年7月、新テスト「大学入学共通テスト」の実施方針を発表する。

 以後、英語民間試験会場の全国規模の確保や記述式問題の採点の公正性などに問題を抱え、決着しないまま政府主導で話が進む。状況を一転させたのは、萩生田光一文部科学大臣の「身の丈」発言だ。高校生の反対署名運動や学校関係者の批判、国会論議の高まりなどから昨年暮れ、一気に全面撤回に追い込まれた。共通テストの出題方式は、センター試験と変わらないマークシート方式に戻った。

 この大混乱から明らかになったのは、教育現場の声を無視した試験方式の失敗だ。大学入学共通テストを高校生の基礎学力を測る第一次試験と位置付ければ、そもそも会場の確保もままならなかったり、採点がばらつくような試験方式は採用すべきでない。

 何しろ、共通テストの受験生は50万人規模に上る。1月に行われた大学入試センター試験の志願者数は55万7000人超、試験場数は689、センター試験を利用する大学、短期大は国公私立計858校に上った。

 このマンモス試験は全国一斉に行い、20日程度で採点し終えなければならない。基本設計のムリを知りながら、修正せずに走り出してしまったのだ。

 正答は、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長の発言にあるだろう。参院文教科学委員会で、吉田氏はこう明快に述べた。「共通テストとしてやる必要はない。各大学がそれぞれの方針で民間試験を利用すればよい」。

 入学者選抜試験の主体は、あくまでも大学である。個々の大学が自らの責任で行うのが本筋だ。共通テストの扱いを含め、どのように最適な試験方式とするか――。とりわけ、全大学の8割近くを占め独自の建学理念を持つ私立大学の取り組みが問われる。

私大で先を行く慶應の取り組み

 慶應義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)で1990年に始まったAO入試(アドミッション・オフィスによる自由応募入試)。以後、各大学のアドミッション・ポリシー(入学者選抜の設計図)は、AO入試を増やし、小論文、調査書、面接などによる多元的な評価法に舵を切り、進化していく。

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