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コロナ失業、400万人に迫る可能性も…違法なリストラや雇い止めは退職合意後でも無効に

構成=長井雄一朗/ライター
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「みんなのユニオン」執行委員の岡野武志氏(右)

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞する影響は、労働者にも及んでいる。企業の業績悪化や事業見直しにより、職を失う人が増えているのだ。そんな中、日本初の無料オンライン労働組合「みんなのユニオン」が発足、すでにコロナ禍での労働相談が多く寄せられているという。

「従業員に対して違法性のある対応を取っている会社も少なくない。問題があると感じたら、まずは専門家に相談することが大切」と語る、「みんなのユニオン」執行委員の岡野武志氏に話を聞いた。

コロナ失業はどこまで増えるのか?

――新型コロナの影響による解雇や雇い止めの問題が顕在化してきました。

岡野武志氏(以下、岡野) 完全失業率は4月時点で2.6%(前月比0.1ポイント増)、完全失業者数は178万人(同6万人増)で、今後はリーマン・ショック時を上回る可能性も懸念されています。リーマン・ショック時の水準である5.5%まで悪化すると、日本の総労働者人口は約6700万人ですから、新たに約200万人の失業者が生まれる可能性があります。

――職を失う人が増える流れは避けられないということですね。

岡野 退職には「自己都合」と「会社都合」の2つのパターンがあります。さらに細かく見ると「合意退職」「普通解雇」「懲戒解雇」「契約期間満了」などに分けられますが、中には自己都合に見せかけて合意退職を強要しているケースなどもあり、それは違法の可能性があります。違法性が認められ、退職が無効になれば、会社に損害賠償や賃金を請求することができます。

――コロナ失業で解決金をもらえるケースもあるのですか。

岡野 解決金には3つのポイントがあります。「すべての失業に解決金の可能性がある」「失業が無効になる条件がある」「就労・更新の意思表示」です。いきなり会社から「明日から来なくていいよ」と言われた場合、法律的には解雇に該当する可能性があり、退職合意書にサインした後でも取り消しが可能で、解決金を請求できる可能性があります。自身が納得できないのであれば、まずは会社に対して「異議」と「就労・更新の意思」を伝えることが大切です。

100万人加入を目指す「みんなのユニオン」

――日本初の無料オンライン労働組合「みんなのユニオン」を設立しましたね。

岡野 新型コロナの感染拡大により休業を実施・検討する会社が増加し、新卒の内定取り消しや不当解雇、非正規社員の雇い止めなどが起きています。「みんなのユニオン」にはすでに500人が加入していますが、今後は100万人を目指します。

 加入すると、ユニオン名義で職場環境の改善を求めることができるほか、労働に関する有益な情報が得られます。基本的なサービスはすべてオンライン経由で利用可能で、加入・脱退も簡単な申請のみで行えます。組合費は永年無料、組合の手伝いや活動への参加義務もありません。

――どんな相談が寄せられていますか。

岡野 新型コロナを理由に労働者に対して違法性のある対応を取る会社が出てきており、すでに数社に事実確認と改善を求める通知書を送付しています。

「“新型コロナの影響で無期限の雇用継続は無し”と言われ、不当解雇された」「シフトを一方的に削られた」など、特に学生や非正規雇用の人が苦境に立たされている実態が明らかになってきました。

 また、内定取り消しに関しては、「雇用契約は内定通知が発出された段階で成立している」という最高裁判決がありますから、会社側もきちんと対応しなくてはなりません。

――日本ではリストラや内定取り消しに遭うと、その時点であきらめてしまう人が多いですね。

岡野 確かに、「不況だから整理解雇も仕方ない」「書面に署名してしまったから」「会社相手に争っても……」と思う方もいますが、それは間違いです。たとえば、仮に会社が業績不振になったとしても、それだけでは簡単にリストラすることはできません。また、自分ひとりで会社と戦うのは難しいですが、法律の専門家やユニオンが間に入り、労働審判や民事裁判で裁判所が介入すると、会社の立場は一気に弱くなります。

 そして、会社が不法行為を行っていると認定された場合、会社での地位の確認、期間中の賃金、民法709条に基づいての損害賠償、契約社員であれば、更新や正社員への転換を、それぞれ請求することができます。

――労働者側と事業者側に、それぞれアドバイスをお願いします。

岡野 労働者側は、何か問題や疑問があれば、まずは法律の専門家に相談することが大事です。そうすることで、自分の置かれている状況を把握でき、これから取り得る手段や目的地も見えてきます。事業者側は、荒っぽいリストラや雇い止めは労働法や労働契約法違反になる可能性があることを認識する。それが、最低限の責任ではないでしょうか。

(構成=長井雄一朗/ライター)

長井雄一朗/ライター

長井雄一朗/ライター

建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス関係で執筆中。

Twitter:@asianotabito

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