小室圭さん親子、「借金未返済」問題への批判を“認識していない”可能性…「暗点化」の特徴
小室圭さんの母親が元婚約者から受け取っていたとされる400万円超のお金の返済義務が今年11月から順次なくなると、8月6日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で報じられた。「文春」によれば、元婚約者は2010年11月1日、圭さんが入る予定だった国際基督教大学(ICU)の入学金として、母親の佳代さんの口座に45万3000円を振り込んだそうだ。家族や友人からの借金の場合、時効は10年なので、このお金の返済義務は11月以降なくなるのだという。
2010年から2012年まで計10回、元婚約者は佳代さんに計439万円を渡しているようだが、法的には10年経ったものから順次返済義務がなくなるらしい。もっとも、たとえ法的には返済義務がなくなっても、倫理的にはどうなのかという疑問の声が上がるかもしれない。小室さん親子の姿勢に批判的な報道やネット上の書き込みも出てくるかもしれない。
そういう批判を小室さんが見聞きしても、きちんと認識するだろうかという疑問を抱かずにはいられない。むしろ、そんな批判などないかのようにふるまう可能性もあるのではないかと私は思う。なぜかといえば、小室さんは「暗点化(scotomisation)」が起きやすいように見えるからである。
「暗点化(scotomisation)」とは、自分が経験したにもかかわらず、不都合な事実や思い出したくない出来事が意識からすっぽり抜け落ちる現象であり、フランスの神経学者、シャルコーが見出した。
「暗点」とは視野の中の欠損部分であり、それによって見えない箇所が生じる。それと同様に意識野に「暗点」ができて、ある種の体験や出来事が全然なかったかのように認識するのが「暗点化」である。
「暗点化」は、その後「事実否認」のための防衛メカニズムの一種としてラカンやラフォルグなどのフランスの精神分析家によって用いられるようになった。自分にとって都合の悪いことや望ましくないことが意識にのぼってこないようにして、葛藤を避けるための無意識のメカニズムとみなされている。
誰にでも起きうる「「暗点化」
そもそも、母親が元婚約者から受け取ったお金は、借金ではなく贈与だと小室さんが主張し続けてきたのも、「暗点化」のせいではないかと疑いたくなる。ただ、この「暗点化」は誰にでも起きうる。
たとえば、進入禁止や一歩通行の交通標識が立っている道路に進入して警官に尋問されたドライバーが、「標識が見えなかった」と答えることがある。嘘をついているように思われるかもしれないが、「暗点化」のせいで自分にとって都合の悪い標識は見えなかった可能性もある。
また、7月1日からレジ袋が有料化されたが、コンビニのレジで「そんなことは知らなかった」「そんな表示はどこにもなかった」と怒り出す客がかなりいたようだ。レジ袋有料化についてはかなり前から報道されていたし、その告知も店内に貼り出されていた。それでも、自分にとって都合の悪い報道も告知も見ようとしなかった客が一定の割合でいたのではないか。
だいたい、自分の見たいものしか見ようとしないのが人間という動物だ。だから、「暗点化」は誰にでも起きうる。これは心穏やかに暮らすための自己防衛の手段なので、当然といえよう。
もっとも、「暗点化」が起きやすい人と起きにくい人がいる。「暗点化」が起きやすい人には、しばしば次の3つの特徴が認められる。
1)他人に善人だと思われることを強く望む
2)体面や世間体のためには人並み以上に努力する
3)自分には欠点がないと思いたい
秋篠宮家の長女、眞子さまとの結婚を控えている身としては、善人だと思われたいだろう。また、体面や世間体に傷がついては大変なので、自分の欠点には目をつぶりたいだろう。だから、小室さんには「暗点化」が起きやすい条件がそろっているといえる。
先ほど述べたように「暗点化」は誰にでも起きうるのだが、あまりにも頻繁になると、「不都合なことは忘れて、自己正当化している」「自分のやったことを忘れて、知らないふりをしている」などと批判されやすい。また、世間の認識からズレているという印象を与えかねない。そうならないためにも、「暗点化」が起きやすいという自覚を持つべきではないだろうか。
(文=片田珠美/精神科医)