
新型コロナウイルスの感染者はなかなか減りませんが、最近では家庭内で感染するケースが増えています。そこで、それを防ごうとドラッグストアなどで空間除菌製品を買い求めて、家の居間などに置いている人もいると思いますが、感染予防の期待はあまり持てないようです。
代表的なあるメーカーの空間除菌製品の場合、それを室内に置くと、内容成分の「二酸化塩素と亜塩素酸ナトリウム液」から二酸化塩素が気化して、空気中に広がり、浮遊するウイルスや細菌を除去するというものです。
同社のホームページには、同製品について次のような説明があります。
「6畳相当の閉鎖空間で空気を撹拌(循環)させたところに、二酸化塩素発生装置を用いて空気中の二酸化塩素濃度を0.01ppm(ppmは100万分の1を表す濃度の単位)に保ち、浮遊するウイルスの一種と菌の一種の除去率を調べた結果、浮遊ウイルスは180分間で99%、浮遊菌は120分間で99%除去できることが確認できました」
「99%除去」というのは、かなり高い除去率ですが、重要なのは、この空間除菌製品が、今脅威となっている新型コロナウイルスに対してどの程度効果があるかという点です。そこで同社に問い合わせると、次のような答えが返ってきました。
「同製品を6~8畳間に置くと、二酸化塩素が0.01ppm程度になるように調整してあります。ノロウイルスやインフルエンザウイルスでの有用なデータは持っています。ただし、新型コロナウイルスに関しては、まだ試験を実施していないので、有用性については何ともいえません」
ホームページにある「浮遊ウイルスは180分間で99%除去」というのは、ノロウイルスやインフルエンザウイルスに関してのことのようです。新型コロナウイルスについては、除去できるかどうか、わかっていないのです。
別のあるメーカーからはスプレータイプの空間除菌製品が販売されています。こちらは、内容液を家庭の居間やトイレなどにスプレーすると、二酸化塩素が空気中に広がり、浮遊するウイルスや細菌を除去するというものです。
しかし、二酸化塩素については、新型コロナウイルスを除去する効果があるかどうか調べられていないのですから、この製品の効果もわからないということです。
二酸化塩素の問題
それどころか、二酸化塩素が人体におよぼす悪影響のほうが懸念されます。国連の勧告であるGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)によると、二酸化塩素については、ラットに対する半数致死濃度は32ppmで、「吸入すると生命に危険」とあります。
ちなみに、第一次世界大戦で毒ガス兵器として使われた塩素ガスの半数致死濃度は146ppmです。つまり、二酸化塩素は、塩素ガスよりも4倍以上も毒性が強いのです。