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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

有名議員事務所の“あり得ない求人広告”に永田町の秘書たちが騒然となった理由

文=神澤志万/国会議員秘書
有名議員事務所のあり得ない求人広告に永田町の秘書たちが騒然となった理由の画像1
参議院議員会館(「Wikipedia」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 10月2日のアメリカのドナルド・トランプ大統領の新型コロナ感染のニュースは、世界を震撼させましたね。幸い、重症化せずにすでに退院したようですが、側近たちは感染続出で、今後も波紋を呼びそうです。一方で、今まで興味がなかった方も大統領選挙に興味を持たれたのではないでしょうか。

 9月30日には、共和党のトランプ大統領と民主党のジョー・バイデン候補の直接対決となったテレビ討論会が中継されましたね。神澤も議員会館で見ましたが、トランプ大統領は相当追い詰められている印象でした。何かものすごく焦っているような感じで、余裕のなさを感じました。発言の内容も神澤の英語レベルで理解できるような話ばかりで、「大統領選挙の討論会って、この程度?」と思ってしまいました。

 報道によれば、世論調査でもトランプ大統領の支持率は低迷していますね。もっとも議員会館ではアメリカの放送はCNNしか見られず、1社だけだと報道的にも偏るので、秘書たちはもっとチャンネルを増やしてほしいと思っています。

 大統領選の結果は日本の政治にも大きく影響するので、解散総選挙のタイミングは大統領選の結果を見てから……との説もあるくらいです。トランプ大統領が落選する可能性もありますから、トランプ政権と密接な関係にあった安倍政権を引き継いだ菅内閣は、冷や冷やしながら動向を見守っていると思います。

議員事務所の「求人広告」に秘書たちが騒然

 永田町では、杉田水脈衆議院議員の失言問題よりも、河井克行元法務大臣夫妻の買収問題よりも、解散総選挙の方がずっと重要です。

 そんな中、10月7日に秘書たちがざわつく「事件」がありました。川田龍平参議院議員の事務所が、転職者向けサイトに公設第一秘書の求人広告を出していたのです。秘書を公募すること自体は違法でもなんでもないのですが、第一秘書というのは、秘書のトップとして事務所の運営を担う立場です。そのポジションを公募するというのがあり得ない印象で、うまくいったという話も聞いたことがありません。

 求人広告を見て応募する方は、ほとんどが国会に夢や希望を持っているので、採用後すぐに理想と現実のギャップにがっかりされます。公設秘書は国家公務員特別職にあたるため、労働法の適用除外で年次有給休暇制度がありません。その事実を知らずに雇用され、突然クビになっても訴える権利すらないのです。さらには、議員や先輩秘書たちとの特殊な上下関係もつらいです。

 理想に燃えてきた人たちは、当然こうした状況に異を唱えますが、残念ながら、これは「永田町の常識・ヨソの非常識」のひとつ。「労基法を守れ」と言っても、議員との軋轢を生むだけです。議員秘書こそ働き方改革が必要なんですが、まあ未来永劫無理な気がします。

 川田事務所も、なかなかいい評判が聞こえてこない事務所のひとつです。昨年の参議院議員選挙で3選を果たしたのに、直後に功労者の政策秘書を解雇していますし、今回はずっと我慢してきた第一秘書がお辞めになったのではないでしょうか。

 川田議員は血友病の治療薬でHIVウイルスに感染し、いわゆる薬害エイズ事件(東京HIV訴訟)の原告として実名を公表、国や製薬会社を相手に戦ったことで有名になった方です。

 裁判をともに戦ってきたお母様の川田悦子さんが2000年に衆議院議員に当選したときは秘書として活躍し、07年にはご自身も参院選に出馬されて、現在3期目です。

 私生活では、ジャーナリストの堤未果さんと結婚されたことでも話題になりました。少し前に、お蕎麦屋さんで川田議員とご家族をお見かけしましたが、悦子さんもお元気そうで、微笑ましい家族団らんでした。

 一方で、永田町では結婚後に川田事務所の評判が落ちたと言われており、堤さんが事務所に関わるようになってから離れたスタッフは多いと聞いたこともあります。

 国会議員の妻が事務所を仕切ると悪く言われることが多いのですが、川田事務所の場合は公募までしている現状を見る限り、切実ですね。秘書も信用問題がかかっているので、普通はコネ採用が基本ですから、国会議員事務所としてきちんと機能しているのかどうか、心配になりました。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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