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相原孝夫「仕事と会社の鉄則」

ワーク・ライフ・バランスは時代遅れ&ストレス増大…「仕事とプライベートの融合」が正解

文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント
ワーク・ライフ・バランスは時代遅れ&ストレス増大…「仕事とプライベートの融合」が正解の画像1
「Getty Images」より

 リモートワーク続きで、時間の確保という面からはワーク・ライフ・バランスは達成しやすくなったともいえるが、一方でワーク(仕事)とライフ(プライベート)との区別が付けづらくなったという声も多く聞く。双方の区別が付けづらいと多くの人が感じている通り、このワーク・ライフ・バランス自体、そろそろ見直しの時期に来ているのではないだろうか。

 ワーク・ライフ・バランスが疎外されると、それはストレス要因となり、ネガティブな感情につながると一般的には考えられており、そうしたことを裏付ける調査結果もある。定時で帰るつもりだったが、部下に依頼した仕事の進捗が気になり、残業となってしまい、イライラする。仕事時間外にもスマホに仕事の連絡が入り、イライラは募る。やり残した仕事が気になって、週末にもついPCを開いてしまう。イライラは頂点に達する。多くありがちな光景だ。

 しかし、そもそも、ここまでデジタル化が進んだ現在、仕事とプライベートとの間に明確に線引きすることなど可能なのだろうか。線引きしようと強く思えば思うほど、それが崩れた時のストレスは大きくなる。つまり、仕事とプライベートとを無理に分けようとすることから、ネガティブな感情を抱くような事態に陥っているとも考えられるのだ。果たして、仕事とプライベートとの区別を付けたほうがよいのか、区別を曖昧にしたほうがよいのか。今一度、考え直してみる必要がありそうだ。

 近年、ワーク・ライフ・バランスが取りざたされ、その実現にあたって、「働き方改革」も進んできている。ワーク・ライフ・バランスとは、内閣府が発表している「仕事と⽣活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」によると、「誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現していく」こととされている。そしてワーク・ライフ・バランスが実現された社会とは、「就労による経済的⾃⽴ができること」「健康で豊かな⽣活のための時間が確保できること」「多様な働き⽅・⽣き⽅が選択できること」という3つを兼ね備えた社会とされている。

 近年は労働人口の減少という事情もあり、女性の社会進出が進み、それにより、仕事と家庭との調和ということが叫ばれ、ワーク・ライフ・バランスに至っている。結局、女性が働くようになることで、両立の難しさから、少子化の方向が強まるという状況が起きる。現在の労働人口の減少を補うために女性の活躍を促進すると、将来の労働人口の減少を招くという矛盾が引き起こされることとなった。

 そこで、少子化を招かないような方法で、女性に活躍いただこうということで、仕事と私生活の調和を図るという政策をとることになる。これが一つの背景だが、女性活躍の観点にとどまらず、介護の問題が増加している事実もあるし、仕事一辺倒ではない多様な生き方を支援し、充実した人生を送ることを後押しするという目的も兼ねている。

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