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草津町長室で性的行為疑惑、訴えた女性議員解職…町議会、住民投票の選挙活動に町民を動員

文=編集部
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草津町公式サイトより

 群馬県草津町議会新井祥子議員が「町長室で黒岩信忠町長と性的な行為をした」と主張する電子書籍に端を発した同町の醜聞は、新井氏の議員失職にまで発展した。事実無根の立場を主張する町長とそれを支持する町議たちと、新井氏の確執は依然として深まるばかりだ。

 12月6日、同町は新井氏に対する解職請求(リコール)の賛否を問う住民投票を実施。即日開票の結果、有効投票の過半数が賛成したためだ。一連の動きに、インターネット上では賛否両論の議論が巻き起こっている。Twitter上では7日午前、「#草津温泉には行かない」がトレンド入り。「性被害を訴えた女性町議が職を失うのは悲惨すぎる」という主張が相次いだ一方、「セクハラは許せないことだが、証拠もなく何でも告発さえすればいいといい風潮はよくない」「旅館運営者には関係のない風評被害だ」などとの反論も多くみられた。一方、果てしない議論の中で町民からは「どっちもうんざり」との嘆きも聞かれる。

「町長の名誉と草津温泉のブランドは無関係」

 新井氏は昨年12月、町議会で自身が出版した書籍内容に言及したことで除名処分を受けたが、県へ不服申し立てをした結果、県は今年8月に処分を取り消した。ところが、県の対応を不服とする町議らが新井氏の解職を求めて署名活動を行い、有権者数の3分の1を上回ったため、草津町選挙管理委員会は11月16日に住民投票を告示していた。今回の住民投票に関して、同町の温泉旅館従業員女性は次のように嘆息する。

「もう忘れていた人も多いんじゃないですか。正直、もう住民投票とかやらなくていいのに。ただでさえ、新型コロナウイルス感染症の影響でお客さんは来ないのに、こんな形でまた注目を集めたらいっそうお客さんが来なくなりますよ。

 正直、“町長の名誉”とか“町議会の名誉”とか我々の生活とまったく関係ありません。草津の温泉の泉質やサービスのクオリティーは、あの人たちと関係ないからです。ただ、議会と深く結びついているうちのホテルをはじめ、観光業の経営者層に強く働きかけが行われた結果、“選挙活動”には動員させられました。具体的には新井氏の解職に賛成することを促すビラの添付や配布作業など、本来であればやらなくていい仕事を無償でやらされました。うんざりです」

不必要に全国の注目を集める町長と議会に冷めた目をする住民

 7日付読売新聞インターネット版の記事『「町長室で性交渉した」と発言の女性町議、リコール成立し失職』によると、「『解職を求める会』代表の黒岩卓・町議会議長(71)は『客観的物証もなく、草津のブランド価値を傷つけた。町民の心の叫びで、当然の結果だ』と語った」とあった。

 つまり今回の住民投票は、新井氏が「草津のブランド価値」を傷つけたかどうかを問うものだったということだ。だが、草津温泉というブランドに対して、今回のやり方がプラスに働いたのかどうかについては疑問が残る。観光物産業に従事する会社員男性は次のように声を潜める。

「今回の住民投票の投票率を見てみればわかる通りです。これまでの町の選挙は7割を超える投票率でした。ところが、町内でもあまり好かれていない黒岩町長が当選した町長選から著しく投票率が落ちました。今回も黒岩さんがらみだからなのか、投票率は5割という結果です。

 投票率の低下は、若い世代が新井氏に対してはもちろん、町長や町議会に対して冷めた見方をしていることの意思表示ですよ。実際に行為があったのかどうかは、もう当事者同士で決着をつけてくださいという話です。そこに『草津』の名前をいちいち出さないでほしいです。風評被害の矢面に立たされるのは、町長でも議員でもなく、我々です」

 町選管によると、今回の住民投票の結果は「失職に賛成」2542票で、「反対」208票。当日有権者数は5283人(男性2645人、女性2638人)。投票率は53.66%だった。地方議会の存在意義が問われている最近では、決して低い投票率ではない。だが、草津町においては比較的に低い結果になった。

 群馬県選管などの資料から、同町の最近の選挙の投票率を見てみると、黒岩町長が当選した18年1月21日投票の町長選は55.86%で、今回の住民投票と似たような数字だった。ところが、それ以前に行われた2015年4月26日に実施の町議会議員選挙は74.98%、14年1月19日の町議会議員補欠選挙、町長選が70.41%と70.42%、11年4月24日の町議会議員選挙が76.3%といずれも7割を超えていた。現在の黒岩町政が、町民全体から歓迎されているわけではないことの一つの表れなのかもしれない。

 町長、町議会とそれを取り巻く、不穏ですさんだ雰囲気は作家の北原みのり氏が同町議会などを取材し、12月3日にAERAdot.(アエラドット)へ寄稿した記事『殺気だつ草津町傍聴席「犬だってしねぇよ」 セクハラを背中で浴び続けた気分になった』からも明らかだ。同記事から引用する。

「休憩を挟んで議場に戻ろうとしていた男性議員たちが『傍聴席のヤツラ! 今日はやりにくい』と大声で言っているのが聞こえた。『ヤツラ』と言うんだな……と驚いたが、普段から傍聴している人によると、『今日は議場がいつもより穏やか』とのことだった。いつもは新井議員への嘲笑や暴言、叱責が激しいといい、この日は傍聴席の女性が圧になっていたのは確かのようだ。

 一方、傍聴席は殺気だっていた。70代くらいの男性たちが前列に座る私たちの背後から、『こっちにだって選ぶ権利あるんだよ』『誰があんな女と』『犬だってしねぇよ』と声を浴びせたり、『(性被害が)本当なら(時間的に)町長はニワトリだ』と盛り上がったりもしていた」

 実際に不埒な行為があったのか、新井氏の主張が虚偽だったのかに真偽に関しては、黒岩町長が新井氏らを名誉毀損の疑いで告訴しているので、いずれ法廷で明らかになる。草津のブランドとはなんなのか。改めて考えさせられる。

(文=編集部)

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