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六代目山口組が新人事断行「山口組の強さを誇示」…分裂以前の勢いを取り戻した証か

文=山口組問題特別取材班
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六代目山口組新人事に関する文書
業界内に出回った六代目山口組新人事に関する文書

 コロナ禍が続く中、表立って派手な動きを見せていない六代目山口組分裂問題。だが2月1日、六代目山口組が人事面において大きな動きを見せた。

 これまで、同組織の若頭補佐を務めていた六代目清水一家・高木康男総長と三代目一会・野村孝会長が舎弟になおり、幹部の職にあった秋良連合会・秋良東力会長と四代目石井一家・生野靖道総長が新たに若頭補佐へと昇格。同時に秋良会長が大阪北ブロック長に就任し、生野総長が九州ブロック長に就いたのだ。

 「六代目山口組発足の際に新設されたのが『幹部』という役職で、この幹部を務めて、功績を認められた親分が、執行部へ昇進するという習わしができました。幹部という役職は、いわば執行部への登竜門というわけです。今回、若頭補佐に昇格した秋良会長は、分裂抗争中に起こった事件の責任を負う形で服役し、去年出所してきた功労者です。生野総長が率いる石井一家も、宮崎県下で、神戸山口組を離脱した池田組系組織と激しい衝突を繰り返してきました。髙山(清司)若頭が出所してすぐに着手したのが信賞必罰による組織改革だったといわれており、今回の人事もそれが反映されてのことではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 その他にも、若頭補佐を務める十一代目平井一家・薄葉政嘉総長が東海ブロック長に就任し、極粋会・山下昇会長が若頭付きへと昇格。落合金町連合会・佐藤光男会長が幹部へと昇進を果たしている。

 「山口組の直参の親分衆は皆が皆、一国一城の主だ。それだけで一目置かれる存在になる。さらに若頭補佐や幹部に昇格するには、経済力だけではなく、地域における影響力や優秀な人材の有無、組員数など、一勢力として総合的に充実していることが必要。そうたやすくなれるものではない。そうした中で、今回のような昇格人事が行われたということは、ヤクザにとって厳しい時代といわれながらも、まだまだ山口組には一定の勢いを持った、名のある親分衆や組織が存在しているということだろう」(業界関係者)

 この業界関係者が指摘するように、出世を果たせば、その地位に見合った会費なども上層部から求められるため、必然的にそれを支える組織力が必要とされる。コロナ禍や分裂問題という逆風の中、このタイミングでそうした条件に適う人材を昇格させてみせたということは、六代目山口組が分裂以前の状態まで戻り始めていることを示したともいえるのではないだろうか。

 また一方で六代目山口組は、他団体との親交も深める動きも強めている。日本で唯一、特定危険指定暴力団に指定された五代目工藤會のトップであり、現在は拘束中の野村悟総裁のもとへ、六代目山口組舎弟頭である二代目伊豆組・青山千尋組長が面会へ訪れたのではないかとみられているのだ。

 「野村総裁は現在、殺人等の罪で公判中ですが、先日の論告求刑では死刑が求刑されています。野村総裁は終始無罪を主張し続けてきた中での求刑だったため、業界内は騒然となりました。それゆえ、激励といった面もあるのではないでしょうか。特に青山組長が率いる伊豆組と工藤會は、代々友好を深めてきたといわれています。というのも、二代目工藤會会長と伊豆組の初代親分が兄弟分だったからです。それだけに、青山組長も野村総裁の身を案じられているのではないでしょうか」(地元記者)

 今後、野村総裁にどのような判決が言い渡されるのか業界関係者の間でも注目が集まっている。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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