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現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”第38回

満島ひかりの“自由さ”から考える、日本の芸能界が俳優に強いる“不自由さ”という問題

芸能吉之助(現役芸能プロマネージャー)

geinou

 どうも、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。

【前回】は、日本の芸能界で売れっ子となった役者さんが、その自分の売れ方に見合った適切な収入を得てウハウハな生活を送るには、純粋な役者業だけではとてもわりに合わず、ギャラのよいCM仕事をせざるを得ない、しかしそのためには品行方正なプライベートを送らねばならず、そのためにこそ日本の「大手芸能プロ」の存在意義がある……なんてお話をしました。

 CM仕事をする場合、企業や商品のイメージを背負うことになるため、出演者の不祥事やスキャンダルはどうしてもご法度なわけですが、そのために純粋な仕事のマネジメントだけでなく、適切な“プライベート管理”をするのも芸能プロの仕事。そして万が一不祥事を起こしてしまった際にも、大手芸能プロならそのイメージダウンを最小限に抑えるノウハウを蓄積しており、だからこそ大手芸能プロに所属し続ける意味がある、というわけですね。

 大手芸能プロの強みは、こうした手厚いマネジメントができることだけでなく、電通や博報堂などの大手広告代理店や大手企業との、歴史的に形成された強いコネクションがあることでしょう。だからこそ芸能人が大手芸能プロから退所後、独立してフリーになった途端、なんだかショボい商品の広告をやっているなあ、胡散臭い企業のCMをやっているなあ、というケースもよくありますよね。

「まあフリーになったからしょうがねーよ」と、タレントさん本人もわかってやっていればいいのでしょうが、「え? そのクラスの役者なのにそんなCMやっちゃうの?」と、結果イメージダウンにつながってしまうようなケースも散見されます。

【前回「連ドラ主演クラスでギャラ2千万円の“安さ”を考える…芸能人が不倫で謝罪する本当のワケ」】

独立した途端“少々やばめ”な仕事をしてしまった米倉涼子にはブレーンがいない?

 たとえば、2020年3月にオスカープロモーションを退所した米倉涼子さんは、独立して個人事務所「Desafio」設立後も、楽天モバイルのCMなんかをうまくやっているのはいいのですが……一方で新たに、某アンチエイジング美容ブランドのCMにも出演しているんですよね。アレはちょっと……女優として築いてきた彼女のイメージを損ないかねないと個人的には思うのですが……。

 要は、受けるべき広告仕事の選別、スクリーニングが、独立してしまったがゆえにうまくできていない、ということなのかもしれません。本連載の【第22回「当初は批判されたホリプロ、美人姉妹が担うナベプロ…世襲に成功した芸能プロの秘密」】でも語った通り、長年在籍したオスカープロモーションの“お家騒動”もあって逃げるように退所した彼女のことですから、きちんとしたブレーンがいないのかもしれませんね……。

 特に米倉さんは“芸能界のど真ん中”で仕事をしてきたタイプの女優さんなので、それをそのまま独立後も維持していくためには、非常に高度な舵取りが必要とされる。それはやっぱり、なかなかハードルが高いことでしょうね。

 逆に、現在フリーランスで活動している女優の満島ひかりさんのように、事務所に縛られずに仕事を自分の目で見て判断したい。しかもそのための“選球眼”、センスのよさも自身にしっかり備わっている、というタイプの方であれば、むしろ独立が向いているでしょう。彼女はもともとが「地上波ゴールデンタイムの連ドラ主役でバーン!」みたいなことではなく、玄人受けする作品に多く出ているような渋めの活動を続けてきた女優さんですから、独立後もその感じを維持することは、比較的容易でしょうしね。

 満島さんが前所属事務所のユマニテを退所する際、事務所の公式サイトには同社の代表・畠中鈴子さんによるこんなメッセージが掲載されました。

「ここにきて一度立ち止まりこれからを考えてゆこうと話し合う過程で双方誠実に向き合い生まれた結論です。プロダクションという枠に守られる形ではなく、すべて自分の責任のもと自由に独りでやってみたいという本人の意思を尊重することにいたしました」「所属という形ではなくなりますが、今後ともできるかぎりのサポートを続ける所存です」

 こうした文面を読むだけでも満島さんのケースは、米倉さんのような少々後ろ向きな独立とは違う、少なくとも表面上は互いに納得しての退社だったことが伝わってきますね。まあ、結局はどちらのケースも、旧事務所との関係がうまくいかなくなったからこそ独立にいたった……という意味では一緒なのかもしれませんが(笑)。

満島ひかりの“自由さ”から考える、日本の芸能界が俳優に強いる“不自由さ”という問題の画像1
女優・満島ひかり(写真右)は現在フリーランスで活動中。仕事を自分の目で見て判断できる“選球眼”を持った彼女なら、むしろ独立が向いているといえるのかも。画像は2017年にホリプロから発売された『ハムレット』Blu-ray版のジャケット。
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