ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 露軍、ウクライナ国旗で欺瞞作戦?
NEW

ロシア軍、ハーグ陸戦条約違反か…ウクライナ国旗を掲げた欺瞞作戦、燃料気化爆弾の使用

文=Business Journal編集部
【この記事のキーワード】,
ウクライナ軍参謀本部の公式Twitterアカウント
ウクライナ軍参謀本部の公式Twitterアカウント

 ウクライナ軍参謀本部は2月28日、公式Twitterアカウント上で、ウクライナの旗がロシア軍の装備のポールに掛けられている」などと投稿。同国民に注意喚起を図った。

 投稿に添付された画像では、ウクライナの国旗を掲げたロシア軍の装甲兵員輸送車の写真を掲載されている。あくまでもウクライナ軍の主張で、第三国や報道、国際機関が同様の事実を確認したわけではないようだが、事実だとしたら大きな問題だ。

ハーグ陸戦条約は「敵国旗を使った欺瞞作戦」を禁じる

 陸上での戦闘における武力行使等に関する規則について定めた多国間条約である、いわゆるハーグ陸戦条約(1900年発効、1907年のジュネーブ条約で改訂拡張)では、敵国の国旗を用いた欺瞞作戦は禁じられている。陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約第1条では、「交戦者の資格」を次のように定義する。

「遠方ヨリ認識シ得ヘキ固著ノ特殊徽章ヲ有スルコト」

 また第23条「特別ノ条約ヲ以テ定メタル禁止ノ外特ニ禁止スルモノ」の「へ」で以下のように禁止行為を指摘している。

「軍使旗、国旗其ノ他ノ軍用ノ標章、敵ノ制服又ハ『ジェネヴァ』条約ノ特殊徽章ヲ擅ニ使用スルコト」

 一方、第24条では「奇計並敵情及地形探知ノ為必要ナル手段ノ行使ハ適法ト認ム」とし、奇襲攻撃などに関しては適法としている。しかし、そもそも第1条の「交戦者資格の規定」で、正規軍であれ、義勇軍・民兵であれ「自国の標章や国旗」の着用を義務づけているので、敵国の旗を利用して欺瞞するような行為は同条約の主旨に反することになる。

非人道的な行為を規制するのは各国の国内法?

 一般論として、同条約を含めたこうした国際条約は、条約そのものが軍の禁止行為を規制するのではなく、批准国がそれぞれの国内法で規制することが多い。米国の国際NGO幹部は次のように語る。

「ハーグ条約やジュネーブ条約は古い条約です。戦争犯罪や戦時中の違法行為のガイドラインとなるものではあるものの、曖昧な部分も多いのです。そのため、個別具体的に規制する国際条約が作られてきました。カンボジアでの平和維持活動を踏まえて、日本も積極的に動いた対人地雷禁止条約(オタワ条約)などがそれにあたります。

 同条約の批准国の多くが参戦した第一次世界大戦、第二次世界大戦、それ以降の数々の戦争で条約に反した軍隊の行動が続いてきました。

 現代の各国軍ではハーグ陸戦条約をたたき台にして軍法や交戦規定(ROE)を設け、非人道的な行為を規制しています。条約の主旨を100%反映しているわけではないというのが実情ではないでしょうか。少なくとも当事国が違法行為を罰しない方針でいる、もしくは国家そのものの意志として違法行為を実行している場合があるからです。

 例えば、ユーゴスラビア紛争中の民間人虐殺や人道に反する罪で、セルビア共和国大統領のスロボダン・ミロシェヴィッチ氏が、国連設置の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷に起訴されました。同法廷は第二次世界大戦の戦後処理を行った極東国際軍事裁判以来初の戦犯を扱う国際裁判で、非常に稀なケースです。

 ハーグ陸戦条約第5条では『不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること』などが禁じられていますが、それが何を指すのかは明記されていません。核兵器廃絶に向けた動きがもっともよく知られていますが、今回、『ロシア軍が使用した』との報道がある燃料気化爆弾なども、我々は非人道兵器にあたると考え、国連や国際社会で訴えています。

 いずにせよ非戦闘員が居住する住宅などをミサイルや爆弾、砲弾などでの攻撃することは非人道的行為にあたり、世界中のあらゆる国がそれを禁じているのは言うまでもありません」

日本では鈴木宗男氏の国会での国際法に関する発言などが物議

 一方、日本ではロシアのウクライナ侵攻をめぐり、日本維新の会の鈴木宗男参議院議員の言動が注目を集めている。鈴木氏は2月25日、自身の公式ブログで「ロシアの主権侵害を認めるものではないが、ウクライナはじめ米欧の国々がどこまで話し合いの重要性を考えていたのだろうか。ここ2カ月、挑発と脅しの話が中心ではなかったか。今必要なのは対話である」と記述した。

 また28日の国会で、ロシアが独立を宣言したウクライナ領内の親ロシア派を承認したことや、ロシア軍のウクライナに侵攻に関する岸田文雄首相との質疑で「国連憲章はあっても国際法はない」と発言したことが物議を醸している。

 ロシア軍によるウクライナ国旗の利用疑惑、燃料気化爆弾の使用など戦争に伴う非人道的な行いがクローズアップされつつある。まずはロシア、ウクライナ両国が停戦の喫緊の課題ではあるが、あらためて戦時の国際社会のルールのあり方が問われることになりそうだ。

(文=Business Journal編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

ロシア軍、ハーグ陸戦条約違反か…ウクライナ国旗を掲げた欺瞞作戦、燃料気化爆弾の使用のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!