馳浩が根回し上手になった理由はジャイアント馬場?プロレスラー時代の唯一の失敗
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
前回、3月13日に投開票が行われた石川県知事選挙で馳浩氏が大接戦を制した舞台裏についてお伝えしました。
神澤は、元自民党参議院議員の山田修路氏が3番手で終わった敗因は、ズバリ立憲民主党県連の推薦を受けたことに尽きると思います。政党に推薦してもらえば、その分の票が上積みされると思いがちですが、戦略を間違えると、もともとあった票が他に逃げてしまうこともあるのです。
山田氏の得票数が多かった、衆議院でいうと石川3区は、自民党の西田昭二議員が選挙区当選しており、立民の近藤和也議員が惜敗率95.11%で比例当選しています。その近藤議員が積極的に山田氏の応援をし、立民も支持という形で応援しました。今回、馳氏(19万6432票)と山田氏(17万2381票)の票差は、約2万4000票です。
石川テレビによると、立民支持者のうち山田氏を支持したのは約4割。山野氏を支持するとした人も4割いました。一方、自民党支持者のうち山田氏を支持した人は3割にも満たず、立民支持者のうち4割を獲得した結果、自民党支持者を2割程度失ったといえると思います。2021年の衆院選比例得票数を基に計算すると、4万6000人余りの自民党票を失って、最大3万8000票の立民支持者の票を獲得したことになります。
総選挙後、立民の支持率は下がる一方ですから、実際の獲得票数はもっと少なかったと予想できます。藁にもすがる気持ちだったのかもしれませんが、冷静に考えていたら立民の推薦は受けなかっただろうなあと思ってしまいました。すべて、たられば論になってしまいますが。
プロレスラー・馳浩の唯一の失敗とは?
序盤で馳氏の苦戦が伝えられたとき、プロレスラー時代の唯一の失敗ともいうべき「秋山準氏のスカウト失敗」を思い出しました。
秋山氏は全日本プロレスで大活躍した名選手で、今も現役です。専修大学の学生だったときから、逸材として注目されていました。馳氏は専大レスリング部の名誉監督で、当時は新日本プロレスのスカウト部長でした。
同部出身で当時の新日本プロレス幹部だった長州力氏からスカウトを指示された馳氏は、同部キャプテンだった秋山氏についていろいろ調査し、「ケガでプロレスはあきらめ、就職するらしい」という情報を得たそうです。馳氏は本人には確認しないでスカウトを断念したそうですが、全日本プロレスのジャイアント馬場氏が秋山氏を口説き、全日本でデビューさせてしまったのです。いわば、自民党が担ぎ出そうとしていた参議院比例の目玉候補を立民(馬場さんに失礼かな……)に取られてしまったようなものです。
神澤は、馳氏が国会議員時代、根回しを秘書や同僚議員に任せず、自分でするようにしていたのは、この経験ゆえだと思っています。
ちなみに、秋山氏と馬場氏をつないだのが松浪健四郎元衆議院議員で、当時専大レスリング部のヘッドコーチだったのですが、マニアックすぎますかねっ(笑)。そのお話は、また別の機会に。
第三次世界大戦も辞さないロシアの脅威
馳新知事の誕生は久々にうれしいニュースでしたが、最近はコロナや戦争など、本当にいいニュースがないですね。
特に神澤は、日々伝えられるウクライナ情勢に心を痛めています。戦争が本当に起こってしまったことは、とても残念です。2月24日、ウクライナへのロシア軍侵攻が開始され、攻撃は、この原稿を書いている3月18日現在も続いています。フランスでは、2月24日のツイッターのトレンドは「第三次世界大戦」(「WWIII」と「Troisieme Guerre mondiale」)だったそうです。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアへの対抗策としてNATO(北大西洋条約機構)諸国にさらなる援助を求めていますが、もしNATOがウクライナへの支援を強化したら、ロシアはさらに攻撃を強めるでしょう。実際に、ロシアの国防相は「ウクライナの近隣諸国に基地を提供することは、武力紛争への関与とみなす」とし、第三次世界大戦も辞さないと啖呵を切っているようです。
とはいえ、日本では「遠い国の話」のせいか、この問題に興味を持てない方も多いようですが、今こそ学校や家庭で戦争の痛ましさについて話し合う機会を持ってほしいと思っています。
ウクライナでは、今も一般市民が尊い命を奪われていますが、戦争は「他人事」ではありません。必ず他の地域も影響を受けます。日本が直接爆撃を受けることがなくても、もし核爆弾が使われれば、地球規模で放射能汚染が広がります。ましてや世界大戦レベルでは地球がなくなってしまうでしょう。
もちろん、産業への影響も大きいです。ウクライナ侵攻の影響で、原油や原材料などの価格高騰が続き、食品などの値上げも毎日のように報道されていますね。
こうした戦争の恐ろしさを子どもたちに正確に伝え、現在の危機を乗り越えるにはどうするかを考えていきたいです。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。