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愛子さま女性天皇論、旧宮家・賀陽家の男子との結婚・皇位継承者確保論を考察

文=Business Journal編集部
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愛子さま(宮内庁のHPより)

 世界に先駆けて進行する日本社会の少子高齢化は、皇室にもおよんでいる。皇位継承と皇族数の減少という2つの問題が浮上しているが、いずれも隘路に陥っている。議論が具体的に進まないのだ。

 その苦悩が如実に現れたのが、昨年12月22日、岸田文雄首相に手交された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(座長=清家篤・元慶應義塾塾長)の報告書である。現在の皇位継承資格者は、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3名だが、次世代の皇位継承資格者は悠仁さまのみである。

 皇位継承資格者が複数名存在することが望ましいのだが、現状では一向に道筋を見いだせていない。有識者会議の報告書は、結論どころか議論の方向性までも先送りせざるを得なかった。

<悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられます。以上を踏まえると、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないかと考えます>(同報告書より)

 悠仁さまが誕生される以前の政府有識者会議では、嫡出子優先の判断から愛子さまを女性天皇候補として皇位継承資格者に加えることも議論されたが、この議論は棚上げになった。皇室ジャーナリストはこう説明する。

「かりに愛子さまが女性天皇に即位されれば、その先のお子さまは母親が女性なので“女系天皇”となる。歴代の女性天皇は8方いらしたので、愛子さまが女性天皇に即位されることは認めてもよいのではないかと考える人もいるが、その先の女系天皇には難色を示す人が多い」

21世紀は女王の時代

 天皇の歴史は神武天皇以降2600年を超え、今上天皇までの126代を男系の子で継承してきた。この歴史を途絶えさせてはならないという意見が多いのだ。例えば自民党のなかで保守色の強い議員にこの意見が多い。ところが歴史の踏襲と現実の間に齟齬が生じつつある。

「今や男女同権の時代になった。しかもヨーロッパには女王の存在を認めてきた歴史があり、イギリスとデンマークの2カ国だけでなく、スウェーデン、オランダ、ベルギー、スペインでも次世代に女王が誕生することが見えていて、『21世紀は女王の時代』ともいわれている。この状況を踏まえて、日本でも愛子さまに女性天皇に即位していただくことがよいという意見が、各種世論調査で8割以上を占めている」(同)

 昨年12月に取りまとめられた有識者会議報告書は、こうした現状には触れず、もっぱら皇族数の確保に焦点を絞った。

 <悠仁親王殿下以外の未婚の皇族が全員女性であることを踏まえると、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときには、現行制度の下では、悠仁親王殿下の他には皇族がいらっしゃらなくなることが考えられます。会議においては、このような事態はどうしても避けなければならないということで意見の一致を見ました。そのためには、まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であります>

 皇族数の確保が課題となっているのは、公務を減らさないという事情があるからだ。皇族は国民との直接の触れ合いを通して、国民の心に寄り添うからこそ、国民とのつながりを持続できる。だが女性皇族は結婚すれば皇籍を離れるため、公務の担い手が減少しかねず、皇族数の確保が喫緊の課題に浮上しているのだ。

旧宮家の皇籍復帰

 有識者会議が取りまとめた皇族数確保の選択肢は、(1)内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること、(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること、(3)皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること――以上の3つである。

 1947年に皇籍を離脱した11の宮家のうち、皇室典範が定める「皇統に属する男系の男子」が存在するのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4宮家である。有識者会議報告書の意図を先の皇室ジャーナリストは、次のように読み解く。

「養子縁組をするのなら女性皇族と男系の男子が結婚されて、男性のお子さまが誕生されれば、皇籍に男系の男子が増えるという意図があるのではないのか。それから、愛子さまと男系の男子が結婚されれば、その方が皇位継承資格者になり得るという考えもあるだろう」

 問題は時間である。先延ばしできる余裕は残されていない。

「有識者会議が提言した(1)の選択肢も(2)の選択肢も、結論を急ぐ必要がある。皇室典範を改正しないと(1)も(2)も実行できないが、愛子さま以外の独身の女性皇族は適齢期を迎えていらっしゃるので、早く結論を出さないと、ご結婚に間に合わなくなってしまう」(同)

 一方、皇室典範が改正され、旧宮家が皇籍に復帰するシナリオについて、旧宮家はどのように考えているのだろうか。皇統の継続のために復帰するのか、あるいは民間にとどまることを希望するのか。そもそも旧宮家の意向は尊重されるのか。

「まだ旧宮家のメッセージは伝わってきていない。旧宮家で現在独身の方々は一般人として生まれて、一般人として生活を営んでこられた。しかし旧宮家の方々は、皇統の継続に問題が生じれば責任を負うという意識を持って歩んでこられていると思う。

 したがって、これだけ皇室の存続問題が報道されているので、ご家族で皇籍復帰について話し合われている可能性もある。ただ皇室典範が改正されて皇籍へ復帰が決まっても、民間にとどまりたいという意向をお持ちならば、尊重されるべきだと思う。復帰を強制すべきではない」(同)

 皇族数の確保には有識者会議の提言とは別の案も考えられるという。養子縁組による皇族数確保という観点から、旧宮家の皇籍復帰よりも、旧宮家の男子が子どものいらっしゃらない宮家と養子縁組したほうがスムーズに進むのではないか――皇室ジャーナリストはそう提言するが、大前提は本人の同意である。本人の同意を前提としなければ国民の支持も得られないだろう。

 旧宮家と皇族との関係の在り方がどう変わるにせよ、個人に対して、皇統の継続を優先する何らかの政治的な働きかけや、空気感の醸成が行われれば圧力になりかねない。

賀陽家の存在

 こうした状況にあって、にわかにクローズアップされているのが旧宮家の賀陽家である。

 賀陽家の賀陽正憲氏は、学習院初等科から学習院大学まで天皇陛下のご学友だった。賀陽氏の息子2人がともに独身であることから「男系の男子」として、皇位継承資格者の候補として話題に上がっている。

「もしかしたら2人に対して、ご結婚について意思の確認ぐらいは水面下で行われているかもしれないが、皇族とのご結婚の打診は行われていないだろう」

 そう推察するのは皇室問題に詳しい週刊誌記者である。そもそも皇室のお考えは世間の推察とは異なるという。

「両陛下とも、愛子さまがあらかじめ決められた方と結婚されることは望ましくないと考えていらっしゃるというのが周囲の見方だ。現に、上皇陛下も、天皇陛下も、秋篠宮親王も、あらかじめ決められた方ではなく、ご自分の意思でお決めになった方と結婚されている」(同)

 しかし皇室の存続が問われている現在は、事情が違うのではないのか。

「そこで独身の女性皇族の方々がご結婚について、公を優先されるのか、私を優先されるのかという考え方が出てくる。秋篠宮家以外の宮家で、ご長女が独身でいらっしゃるのは、宮家の継承を大切に感じられているからではないだろうか」

 皇族の存在価値を支えるのは国民の支持といわれるが、当事者が社会を覆う気分に影響されずに判断されることを祈りたい。

(文=Business Journal編集部)

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