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【投資体験レポ】つみたてNISAが不調で心配…米国株式の乗り換えたほうがいい?

文=武松佑季/フリーライター
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【投資体験レポ】つみたてNISAが不調で心配
「Getty Images」より

 マネーIQゼロの筆者が、自腹で投資体験する本連載。前回、単元未満とはいえ、ついに株を購入して、いよいよ株トレーダーとして船出。ボンボヤージュな気分だったが、その後、株価は急落、「いちかぶ」のありがたみを骨身に感じたところまでをお伝えした。

 ということで、今回も恒例の実績紹介から。

四季報を読み解くポイントのひとつは自己資本比率

 まずは楽天証券のつみたてNISA。

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 う~ん……。プラスはキープしているものの、前回の+6179円からだいぶ下がってしまった。一進一退、ヒリヒリする展開だ。

 内訳を見ると、前回に引き続き「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の成績が芳しくない。いい加減、ここに積み立てている5000円も「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に乗り換えたろか、という気持ちが強くなったが、ファイナンシャルプランナーの高山一惠さんはバランス型を保有し続ける意義を強調する。

「そう思いがちですが、アメリカのみの投資となると大暴落する恐れもあり、長期的に見ると世界中の幅広い資産に分散投資しておいたほうがリスクを低くできるんです。すべてをバランス型にする必要はありませんが、こういった商品も組み入れながら投資することをおすすめします」

 アメリカは世界経済を牽引しているとはいえ、絶対ではない。ここ最近は特に失速気味で、筆者がつみたてNISAを始める前あたりがもっとも調子が良かったそうだ。なんだか自分が貧乏神のような気がしてきたが、とにかく今回も様子を見ることにした。“下手に動かない”ということが、つみたてNISA界では鉄則だ。

 そして、LINE証券の「いちかぶ」。

 

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 前回は1285円だったので、こちらはさらに下がっている。「いちかぶ」なのでダメージは少ないが、ヤーマンは本当に大丈夫なのか。最新の四季報を確認してみよう。

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株式会社Money&You作成

 コメントには「最高益」、欄外には「大幅増益」の文字が確認できる。業績を見ても、2020年度を除いてうなぎ上りだ。さらに、ポイントとなるのが、赤枠で囲った「自己資本比率」だそうだ。そもそも、自己資本比率とはなんだろうか。

「家庭でいえば、2000万円貯金があったとしても、1000万円の住宅ローンが残っていれば、純粋な資産は1000万円になりますよね。このように自己資本率とは、総資本に占める純資産の割合のことを自己資本比率と呼び、安定した財務状況を量る指標となるのです。これが72%というのは、なかなかの数字。本業での利益を表す営業CFも好調ですし、売上も順調に伸びています。長生き時代の今、美容や健康に興味を持つ人も増えると思いますし、成長が期待できる企業だといえるでしょう」(高山さん)

 中国でヤーマンブランドを確立できたことが大きく、確かにネガティブな要素がこの情報からは読み取れない。しかし、事実として株価は下がっている。なぜなのか。

「ご存じのとおり、現在、日本円はかなりの円安。これが原因で美容機器をつくるための資材を輸入する調達価格が高騰し、仕入れコストも上昇。その要因もあり、現状は利益が減っているようです」

 過度な円安も一時的なもの。そんな見解あっての好調予想なのか。

円安でも悪いことばかりではない!

 ところで、円安による物価高騰は連日ニュースになっている国民の一大関心事。ものすごくざっくりと説明すると、日本とアメリカの状況で見た場合、日本よりアメリカのほうが経済的に安定していて、円よりドルのほうが信用できると投資家等に見なされ続けた結果、円の価値がどんどん下がり、円安・ドル高の状況になっているようだ。

 そのため、日本政府が何兆円も使って円を購入して為替のバランスを取ろうとする「為替介入」を行ったりもしているが、効果てきめんとはいえない状況のようだ。アメリカ経済も前述のように、以前より好調とはいえない。そんなアメリカと比べても日本がここまで信用されないなんて……。

 高山さんいわく、他国に比べて教育投資を積極的に行ってこなかったことによる人材不足、優秀な人材の海外への流出、昭和の成功体験などからビジネスモデルを刷新できず、日本経済は世界から後れを取ってしまっているとのこと。各国が金利を上げるなか、日本は金利を上げたくても上げられない負のスパイラルも関係しているそうだ。

 ちなみに、時は乱世、経済活動が盛んな尾張出身である織田信長や豊臣秀吉は新しいビジネスモデルを次々と生み出していったが、最終的に天下を取った徳川家康の出身地である三河は、土にまみれてコツコツ働くことこそ美徳とされる土地だったようで、その価値観が250年以上続いた江戸時代を通して日本人のDNAに染みついた、といったことを司馬遼太郎の小説で読んだ記憶がある。日本人の改革下手はそんなところに源流があるのではないか、などと勝手に思ったりもした。

 閑話休題、円安も悪いことばかりではない。渡航緩和で訪日する観光客が爆買いしまくってくれることである。つまり、この恩恵を受ける企業は少なからずあるはずだ。

 これを受けて、次回はこの時勢から伸びそうな企業を予想し、何かしらの株を購入してみようと思う。さらに、つみたてNISAでは現在、アメリカ市場と世界バランス型にそれぞれ投資しているので、新興国系の商品といった、ややギャンブル性のある商品を持っておくのもおもしろそうだ。ということで、こちらも買い足す銘柄を自力で考え、次回、購入してみたいと思う。

(文=武松佑季/フリーライター)

監修:高山一惠/(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー1級。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立し、10年間取締役を務めた後、2015年より現職へ。女性向けメディア『FP Cafe』『Mocha』の事業に注力。全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。

<主な著書>
『はじめてのお金の基本』(成美堂出版)
『はじめての資産運用』(宝島社)
『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)
『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)

武松佑季/フリーライター

武松佑季/フリーライター

1985年、神奈川県秦野市生まれ。編集プロダクションを経てフリーランスに。インタビュー記事を中心に各メディアに寄稿。東京ヤクルトファン。サウナー見習い。

Twitter:@yk_takexxx

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