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自民・二階俊博氏に支給、政策活動費50億円が使途不明、原資は税金…政党交付金か

文=Business Journal編集部
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自民党のHPより
自民党のHPより

 各政党が所属議員に支給する政策活動費が、2021年までの20年間で主要政党で約456億円、最も多い自民党が総額約379億円に上ると11月26日付朝日新聞が報じた。自民党内で最も多くの政策活動費を支出されたのは、歴代最長の約5年にわたって幹事長を務めた二階俊博氏で、20年間に約50億円が支出された。

 政策活動費は法的に規定された予算項目ではない。政党によっては「組織活動費」「活動費」と呼ぶ例もあるが、使途の公表が義務付けられていないため、使途は明らかにされない。まさに「合法化された使途不明金」である。神戸学院大法学部の上脇博之教授(憲法学)はこう説明する。

「政策活動費は各政党の活動内容によって使途が決められている。政策という表現を使っているので建前としては政策に関する活動に使う資金だが、自民党も他の政党も使途を説明していないので分からない。内閣官房長官は官房機密費を握れるので、自民党の場合、官房機密費に加えて政策活動費名目でも使途不明金を使っていることになる」

 それにしても20年間に二階氏に支出された約50億円という金額は突出している。年間2億5000万円が20年にわたって支出された計算だ。上脇氏は「何に使ったのか想像がつかない。領収書がないので二階氏が政策活動費を渡した相手が、それを何に使ったのかも不明である」という。

 民間企業でこんな経理処理はあり得ず、税務署も看過しない。しかし国会議員には、政治の仕事は民間企業の仕事と違って国家機密に関わることもあるために、公表できない費用の使途があるのは当然――そんな言い分もあるという。透明化に抵抗したいのだろうが、上脇氏は「考え方が逆だ。国の政策を左右し、予算も握っている重要な役割を担う公人だからこそ、使途の透明化を徹底しなければならない。領収書の要らない支出が認められたら政治や選挙がゆがめられてしまう」と一蹴する。

政党交付金が使途不明金に

 政策活動費という名目の資金が支出されるようになったのは1990年代に入ってからだ。細川連立内閣で実施された政治改革で94年に政党助成法を含む政治改革四法が成立し、小選挙区比例代表並立制の導入とともに、政党交付金の支出がスタートする。時期の合致を考えれば、政党交付金が政策活動費の原資ではないのか。政党交付金は国庫から支出されるため、原資は税金である。しかし与野党とも政党の立場として、使途公表が不要である政策活動費の原資が政党助成金であると認めるわけにはいかない。

「帳簿上は政党交付金と政策活動費は帳簿を分けて管理しているらしいが、お金に色が付いているわけではない。政党交付金が入ることで資金に余裕ができるので、政党交付金以外のところで使途不明金が発生している。自民党は政党交付金を政策活動費に使っていないと説明しているが、国民からすれば、それは帳簿上の話でしょうと。実質はお金に色が付いていない以上、税金から支出される政党交付金が使途不明金に変わっていることに変わりないだろう」(上脇氏)

小選挙区制の弊害

 いわば政策活動費は、税金で賄われる政党交付金を政治資金にロンダリングする仕掛けなのだ。是正する手段はあるのだろうか。

 上脇氏が着目するのは政治資金規正法21の2である。「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない」と定めている。選挙活動の収支は公職選挙法に基づいて出納責任者が作成するので、寄附がなされても透明性は確保されている。ところが同第2項は「前項の規定は、政党がする寄付については適用しない」と例外規定を付記している。この規定が盲点なのだ。

「公職の候補者は資金管理団体という『財布』を持っている。政治活動に使う資金を受け取ったのであれば資金管理団体が収支報告をすべきなのだが、かつて東京地検はそういう解釈をしなかったので欠陥法になってしまった。公職の候補者が党本部や支部から寄付を受けた場合、収支報告の制度がないので使途不明金になってしまっている」

 上脇氏はこの実態を踏まえて「第2項の条文を削除して、選挙資金以外は公職の候補者に寄付ができないようにする以外にない」と提言するが、見通しは厳しい。

「使途不明金は便利なので、いまだに手を付けられていない。政党が改正しようとしない限り、議員立法は出てこない。本当に制度を変えようという政党が政権を獲らない限りは変わらないのが現状だ。改正を求める世論が高まって、与党が改正しないと選挙で負けるというぐらいの機運にならないと変わらないのではないだろうか」

 小選挙区制に移行して以降、公認権と政治資金の配分権を握る執行部に権限が一極集中して、党内に執行部への反対意見が出にくい構造になった。それゆえに与党党首が内閣総理大臣に就任すれば、当人の意向で政府の政策が決まりやすくなる。

 上脇氏は「執行部への権限集中には政党交付金、企業献金、政策活動費も絡んでくる。小選挙区制は政権が独裁化して暴走しやすい仕組みになっている」と懸念している。94年の政治改革から28年。政策活動費透明化の道筋は見えない。

(文=Business Journal編集部、協力=上脇博之/神戸学院大学教授)

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