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激安トヨタレンタカー・片道GO!で京都→東京を走破してみた…カローラ新車で驚異の燃費

文=渡瀬基樹
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利用区間と期間、車種が限定されているが、格安で借りることのできるトヨタレンタカーの「片道GO!」。ただし、早い者勝ち。(写真はすべて筆者撮影)

 日本で最も販売台数の多い自動車メーカーはトヨタ自動車だ。そして、日本で最も車両保有台数の多いレンタカー会社も、やはりトヨタレンタカーだ。店舗数は全国で1000カ所を超え、車両ラインアップは基本的にトヨタ車ということで、ハイブリッド車などの割合が高いのが特徴だ。

 最大手のレンタカー会社だけに、料金やサービスは全国均一となっている。そのためコストパフォーマンスという点では印象が薄かったのだが、最近ではさまざまな割引サービスが用意されている。出発の30日前までに予約すれば、基本料金が30%オフとなる「早割」や、直前まで予約可能で、基本料金が10~40%オフとなる「直前割」など、上手に利用すればリーズナブルに利用できるようになりつつある。

 なかでも抜群のコスパを誇るのが「片道GO!」だ。出発店舗と到着店舗・利用期間が限定されるが、出発日より24時間の利用では2200円、48時間の利用では4400円という、驚異的な価格となっている。当初は「東京-大阪・京都」間で始まったが、現在は「札幌・千歳-函館」間、「宮城-岩手・山形」間、「東京-愛知・静岡」間、「福岡-宮崎・鹿児島」間、「大分-長崎」間と、全国に広がりつつある。

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トヨタレンタカーの「片道GO!」のサイト。乗り捨てサービス(ワンウェイシステム)の利用が多いと思われる区間で、サービスが行われている。

 これは、レンタカーを別の店舗へ返却する乗り捨てサービス(ワンウェイシステム)の回送車を活用したもの。乗り捨てされた車両は、出発地まで回送しなければならず、手間や交通費・人件費が必要となる。そのため長距離の乗り捨てサービス料金は高額に設定されており、トヨタレンタカーの「東京-大阪」間の乗り捨て料金(ワンウェイシステム料金)は、3万5750円に設定されている。

「片道GO!」はこの回送費用を削減するため、回送したい車両をレンタカーとして貸し出すというものだ。乗り捨てサービスを利用した人から費用は回収しているので、安く貸し出しても問題ない。むしろ、回送業者などに支払う費用が削減できるわけだ。同様のサービスはニッポンレンタカーも、専用アプリで「特割ワンウェイ」という名称で実施している。

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「片道GO!」は、公式サイトに利用できるすべての車のリストが一覧表示される仕組み。
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ニッポンレンタカーの「特割ワンウェイ」は専用アプリで、出発日と出発時刻、出発都道府県を入力して検索する。

 さて、乗り捨て車両ありきの「片道GO!」は、先述したように出発・到着店舗や利用期間が限定されている。公式サイトに店舗や期間などが表示されており、予約は基本的に早い者勝ちとなる。

 回送車両を使用しているため、もちろん車種は指定されており、選ぶことは一切できない。サービス開始当初はインバウンド利用が多かったためか、空港やターミナル駅の最寄り店舗で、多人数が乗れるミニバンが多かったが、現在はそういった傾向はなくなりつつある。

 今回は、トヨタレンタリース京都の堀川店から東京都内の店舗まで借りてみた。高速道路を使わず下道のみを走ったため、48時間4400円のプランを選択している。車種は現行型のカローラツーリングだった。

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出発したのはトヨタレンタリース京都の堀川店。二条城に近い、京都の中心部に位置する
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貸し出し直後の走行距離は、なんと4750km。ほぼ新車同然のコンディションだった。

新車同然のカローラツーリングワゴンでいざ京都から東京へ!

 12代目カローラシリーズのワゴンモデルであるカローラツーリングは、2019年9月にフルモデルチェンジしたばかりの新しいモデルだ。レンタルした車両は1.8LのCVTモデルで、もっともオーソドックスなグレードといえるが、なんと走行距離は借りた時点で4750km。新車同然といえるコンディションだった。

 往年のカローラに親しんできた人は、カローラツーリングに乗った瞬間に「でかい!」と思うかもしれない。初めて3ナンバー化し、見た目にもワイド&ロー化した。内外観のルックスを含め、カローラの名称が付いていることに違和感があるほど、スタイリッシュな印象を受ける。スポーティでもあり、ヤンチャな雰囲気すら漂っている。

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従来のカローラシリーズとはかなりイメージの異なる、尖ったデザイン。全幅が広がったことで、3ナンバー化している。

 一方で、走った印象はすこぶる大人しい。過不足のないエンジンにCVTのミッションなので、不満はないがスポーティとはいえない、まさにカローラらしいパワートレインだ。特徴的なのは上質な足回りで、よい意味でカローラらしからぬ乗り心地。似たフィーリングをあえて挙げるとすればフランス車、特にプジョーの中上級セダン&ワゴンに近いものを感じた。

 3ナンバー化したとはいえ、取り回しは悪くないし、狭い道でのすれ違いに悩まされることもそれほどない。ハンドリングもクセがないから、幅広い年齢層が使いやすいと感じるだろう。ただ、運転の楽しさという点では物足りない面もある。今回は下道ばかり700km以上を運転したため、さすがに飽きる部分もあった。

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ワイド&ロー化した影響か、着座位置もやや低め。リフターを一番下まで下げると、身長170cmの筆者では前が見づらかった。
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内装は外観に比べれば、比較的オーソドックスなデザインと質感。年配のユーザーにも配慮されているのだろう。

気になったのはラゲージルームの狭さ、カーナビ地図の古さ

 気になるのはラゲージルームだ。カローラツーリングは、国産車では絶滅危惧種になりつつあるステーションワゴンに分類されるが、その最大の特徴である荷室に、あまり魅力を感じない。リアシートを倒したときのラゲージスペースは最大802L。872Lのスペースが確保されていた先代のカローラフィールダーより、大幅に狭くなっている。

 これは、リアの形状が角張っていた先代より、スタイリングや空力、走行性能を優先させた結果なのだろう。ただ、見た目もショートワゴンやハッチバックに近い雰囲気になり、使い勝手も含めて、特にハイブリッドモデルはプリウスやアクアと大きな違いを感じられなくなったのではないだろうか。

 2段階の高さに設定できるラゲージ床面や、濡れた荷物も気兼ねなく載せられる樹脂製のデッキボードなど、工夫は凝らされているものの、「ライトバンの代替」としての荷物車的利用は、難しい面があると思う。

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体積は決して小さくないのだが、先代よりは狭く感じるラゲージ。タイヤハウスの張り出しがあるので、横幅も限定されている。
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ラゲージ縮小の原因は、背面がより寝たリアのスタイリング。ただ燃費や走行性能、衝突安全性の向上に寄与しているはずで、一概に悪いともいえない。
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フロントデザイン同様、リアも先代とは大幅にイメージが刷新された。

 カーナビはビルトインされた「ディスプレイオーディオ」だけに、さすがに使い勝手は悪くない。ただ、開通したばかりの道路が地図に反映されていないことには驚いた。具体例を挙げれば、2019年6月に開通した東八道路の杉並区下高井戸~三鷹市牟礼間が未開通の状態だった。

 トヨタが2019年から導入開始した「ディスプレイオーディオ」は、基本的にスマートフォンと連携して、音楽やナビをディスプレイ上で操作・使用するというもの。つまり、スマホを接続しないとオーディオやナビが使えないわけで、さまざまな人が利用するレンタカーにはまったく向かないシステムだ。

 そのため、あらかじめカーナビ機能を入れておく「ナビキット」があり、このカローラツーリングにも装着されていた。しかし「ナビキット」にも2種類あり、より手軽な「エントリーナビキット」が装着されていたため、最新地図の更新はされていなかったのだと思われる。このあたりは、レンタカー業界にとって今後の課題といえそうだ。

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ビルトイン式のナビは、地図が最新でないことを除けば、ほぼ不満はない。

下道のみ700キロ超を走り、驚異の燃費17.9キロ!

 さて、今回は京都から滋賀-岐阜-長野-山梨-東京と、2日間かけて山間部を中心に走行した。渋滞はほとんどなかったが、アップダウンは激しいというルートで733.1kmを走ったが、給油した量は41.02L。下道ばかりを走行して、約17.9km/Lという燃費だった。ちなみにカタログ燃費が14.6km/L(WLTCモード)。非ハイブリッドモデルの実燃費としては、かなり良好だったと思う。

 貸出店舗での対応もよかったのだが、返却店舗では店員さんから「長距離のドライブ、お疲れ様でした」というねぎらいの言葉もあり、接客対応のよさが強く印象に残った。料金がお得なだけでなく、今回は新車同然の車という幸運もあり、極めてコスパがよかったといえると思う。

 あとは、実施している地域をさらに広げてくれることを期待したい。その点、ニッポンレンタカーの「特割ワンウェイ」は、全国でサービスを実施しているのが強みだ。もっとも「特割ワンウェイ」はアプリ自体の検索機能が使いにくいという欠点がある。どちらも一長一短があるため、状況に合わせて使い分けることをおすすめしたい。

(文=渡瀬基樹)

渡瀬基樹/フリーライター

渡瀬基樹/フリーライター

1976年、静岡県生まれ。ゴルフ雑誌、自動車雑誌などを経て、現在はフリーの編集者・ライター。自動車、野球、マンガ評論、神社仏閣、温泉、高速道路のSA・PAなど雑多なジャンルを扱います。

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