「週刊ポスト」(小学館)から「女性社長が増えていることについて」というテーマで取材を受けた。きっかけは、信用調査会社大手の東京商工リサーチが4月24日に2014年の「全国女性社長」調査結果を発表したことにあるという。同調査によると、全国267万社のうち女性社長は10年の調査開始以来最多の31万55人、11.5%になった。10年の調査では21万人強だったので、4年間で5割近くも増えた。
「女性社長がどうして急増したか」という問いを受けて、2つの要因を挙げた。
まず、既存の経営者の高齢化だ。東京商工リサーチが14年10月に発表した別の調査によれば、14年の全国社長の平均年齢は60.6歳で、前年より0.2歳伸びた。調査が開始された09年には59.5歳で、毎年0.2歳ずつ平均が加齢している。11年に60.0歳と60代に乗ったのを契機に、女性社長の急増も始まったと見ている。
上記は全企業の平均で、戦後に設立された企業で創業者がまだ経営者である場合は70代以上となっていることが多い。中には80代の経営者が後継経営者に悩んでいる場合も多い。
オーナー企業における後継問題は、待ったなしの喫緊の経営課題になっている。なにしろ、全国267万社企業のうち248万社が同族企業なのだ(国税庁統計情報13年度会社標本調査結果)。実にその割合は93%に達する、我が国はファミリービジネス大国なのだ。ちなみに法人税法では、出資金額の半数以上を3人以下の株主が支配する会社のことを「同族企業」としている。
オーナー企業が事業承継する場合、もちろん子息承継を望むことが圧倒的だ。男子承継の傾向はまだ強いが、近年、男女間でも能力に差がないと認識されるようになったことで、女性経営者が急増している。
女性社長が急増したもう1つの要因は「プチ起業」である。06年に会社法が施行され、株式会社が資本金1円から設立できるようになった。それ以来、誰でも起業して経営者になることが可能となった。