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ニトリ、28期連続増益を支える異端経営 「当たり前」をひたすら徹底で独自施策続々

文=福井晋/フリーライター
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 その結果、例えば家具メーカーでは通常50%といわれる原材料使用率を95%にまで高めるなどのコスト削減を実現している。品質も、品質改善活動を給与に連動させるなどの工夫で、現地従業員のモチベーションを高めている。ニトリHD関係者は「海外2工場の品質管理レベルはトヨタ並み」と胸を張る。

 その後、海外2工場の原料調達、最終製品輸入などの物流効率化を図るため07年に恵州物流センター、09年に上海プロセスセンターを稼働させ、生産と物流の垂直統合を行い、圧倒的な価格競争力を実現する仕組みを構築した。それにより、海外工場の製品を海外の自社物流センターを通じて国内に供給する自前の垂直統合ビジネスモデル「製造物流小売業」を確立、連続増収増益の事業インフラにしている。

 現在、このビジネスモデルによるPB(自主企画商品)の国内販売比率は約7割に達している。それだけ価格対応力やニーズ変化への対応力が高い。同社の連続増収増益が常識化する理由でもある。

人材育成の仕組み

 連続増収増益要因として、人材育成の仕組みも見逃せない。結論からいえば、「企業としてなすべき人材育成を、当然のごとく行っている」のだ。

 ニトリHDの経営としては、自社の将来像から成長計画を作る「逆算の経営」が有名だ。
例えば同社は72年に「日本一の家具小売業」の将来像を描き、「30年で100店・売上高1000億円」の超長期経営目標を立てたといわれている。それを長期、中期、短期の経営計画に落とし込み、この目標を03年に1年遅れで達成している。現在は「32年に3000店・3兆円」の目標を立て「家具小売業世界一」を目指している。同社はこの逆算の経営を、人材育成にも応用しているのだ。

 正社員は入社した年から年2回の「キャリアプラン」提出を義務付けられ、これを参考に社員の配属先を決めるというが、この書類の記載内容が少々変わっている。ニトリHD関係者によると、「最初の記載欄が『70歳ビジョン』になっている」というのだ。新卒採用の場合、22歳ぐらいでいきなり「70歳のありたい自分の姿」を思い描けというわけだ。そうして面喰らっていると、上司から「そのためには社内でどの部署を、どの順番で異動し、どんな業務経験を重ねたら『70歳のありたい自分』に近づけるかを逆算して考えろ」と指導されるという。
 
「そうした、まったく現実感のない遠い将来からありたい自分のキャリアを埋めていき、10年後、5年後、3年後のキャリアアップを考えているうちに、自分の将来目標が明確になり、キャリアアップの道筋が明確化してくる」(前出関係者)

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