関税を下げると、特に食料品の輸出入が増えるでしょう。日本のコメも同様です。日本では、世界基準の数倍の価格となっています。それはその産業が保護されているからです。産業を保護することは、日本の経済にマイナスになります。日本の若い夫婦の家庭が、高いコメに多くのお金を使っているような状況は、誰にも恩恵を与えていません。関税を下げて安いコメが入ってくればいいのです。食費に多くのお金を使わなければならない家族は、子供を多くつくることができません。何十年も、日本は自国の経済を保護してきました。関税がかかっている品目のリストを作成すれば、どの関税を引き下げなければならないかがわかります。それを今すぐにやるべきです。
――これらを実行した場合、日本のGDPや日経平均株価はどれくらい上がると考えられますか。
ロジャーズ どれくらい上がるかはわかりませんが、赤ちゃんを産み育てるための商品・サービスを提供する企業の株は上がるでしょう。また、保護から外された企業の株は下がると思いますが、そういう企業はこれから競争にさらされるでしょう。
もし40歳の日本人ならば……
――「もし私が40歳の日本人ならば」という項目も、おもしろかったです。「農場を買う」のは日本の農業にチャンスがあるからということですが、どういった作物を、どういう価格で、どこに売るビジネスに勝機がありそうですか。
ロジャーズ 日本には多くの“空っぽの農地”があります。外にいることや汚れることが嫌いな人は農業をやらないでしょうが、農業には大きなチャンスがあります。日本の農民の平均年齢は60代後半になっており、若い人はみんな東京や大阪に引っ越して、農地にはほとんど残っていません。コメが保護産業から外されれば、コメを安く売ることができるようになります。そこに勝機があるでしょう。
――「教育事業」では、「日本に来る外国人を相手にする」と述べているが、日本語を教える日本語学校などがビジネスになるということでしょうか。それとも、彼らに何か専門スキルを教える学校などがビジネスになりそうですか。
ロジャーズ 外国人に教えることもあれば、外国人が日本人に教えることもあるでしょう。英語圏から来た人であれば、日本人に英語を教えられます。たとえば、大工でも外国には日本とは違うやり方があります。外国人をもっと歓迎するべきです。日本には、すでに外国人用のコースを持っている学校がありますが、まだ学校には外国人を受け入れる余裕があります。それを使わないのはもったいないです。ビジネスには“やり方”があります。すでに教育ビジネスで成功している企業であれば、そのやり方を知っています。
日本は最近、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定しましたが、年間7万人くらいではまだまだ足りません。人口が1億2500万人の国にとっては、解決にならないのです。しかし、日本が何か対策を講じたという点では、評価すべきことです。労働者として入ってくる外国人が日本社会に貢献する姿を見れば、外国人はそれほど悪くないとわかり、もっと多く受けいれるかもしれないからです。