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イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機「コンコルド」は、膨大な赤字を垂れ流し続け03年に消滅した。「スペースジェットは“第二のコンコルド”になる」といった論調も見られるようになった。三菱重工、三菱航空機の正念場が続く。
債務超過は一過性か
三菱重工の19年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前期比0.2%減の4兆783億円、営業利益や特別利益を合わせた事業利益は同3.2倍の1867億円、最終損益は1013億円の黒字(18年同期は73億円の赤字)だった。火力発電機器が好調で約300億円の土地売却益が計上された。
三菱航空機は08年の設立。資本金は1000億円で、トヨタ自動車や三菱商事なども出資した。国が500億円の開発支援を行う巨大プロジェクトである。
当初は13年にMRJの納入開始を見込んでいたが、設計変更などが相次ぎ、納入時期は7年遅れとなっている。計6000億円を投じたMRJ事業だが、相次ぐ延期で三菱航空機は18年3月末で1100億円の債務超過に陥った。
三菱重工は18年10月末に単独で2200億円の金融支援を実施。三菱重工が三菱航空機に貸し付けている500億円の債権を放棄し、1700億円追加出資した。これで債務超過は解消された。
19年3月期のMRJの開発費用は851億円に上った。20年3月期はMRJの開発費がピークを過ぎるため、航空・防衛・宇宙部門の事業損益は200億円の赤字を見込む。19年同期は374億円の赤字だったから、赤字幅が縮小すると強調している。
三菱航空機の債務超過を解消するための三菱重工による金融支援が、1回だけで済むという保証はどこにもない。
(文=編集部)
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