19年6月期連結決算の売上高は前期比45%増の516億円、最終損益は137億円の赤字(前の期は70億円の赤字)となった。13年の創業以来、7期連続の赤字である。主力の国内アプリ事業が好調で、フリマアプリの国内の流通総額が5000億円に迫る水準となったことから、消費者が不用品を売買する際に得られる手数料収入は増えた。しかし、スマホ決済「メルペイ」への先行投資や従業員の大量採用による人件費の増加で、前の期より赤字が増えた。
スマホ決済「メルペイ」は19年2月に始めた。4カ月あまりで登録者数は200万人を超えた。加盟店も増やしており、足元の135万カ所から19年中に200万カ所に広げる計画だ。LINEやNTTドコモとも加盟店開拓やQRコードの相互利用で連携する。
昨年9月、上場初となる株主総会で、山田会長に株主から厳しい質問が飛んだ。「黒字化の時期はいつか」。答えは「短期の収益性ではなく、中長期の大きな成長を見据える」だった。8月8日の決算発表で山田会長は「20年6月期を勝負の年にしたい」と述べた。今年9月の株主総会では、どんな答えを用意しているのだろうか。個人投資家はいつまで赤字を我慢できるのか。山田氏の経営者としての力量が問われる。
焦点の米国事業は赤字が続いている。米国の流通総額は3億6000万ドル(約382億円)と前期比約70%増えたが、黒字化のメドとされる12億ドルのおよそ3分の1である。米国事業の黒字化のメドが立たないこともあって、20年6月期の業績予想を非公開とした。国内のフリマで稼ぐ資金を米国やスマホ決済に注ぎ込む戦略の根幹となっている国内フリマ市場も、PayPayの追い上げが急だ。
MTGは中国子会社が不適切な会計処理
東証マザーズに上場しているトレーニング機器「シックスパッド」などを販売するMTGの株価は8月6日、上場来最安値の975円まで下落。とうとう1000円の大台割れとなった。1年前の18年7月10日、新規上場した。サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手や歌手のマドンナを使った派手なプロモーションで急成長。上場前から企業価値が10億ドルを超すユニコーン企業として期待が高かった。