2015年1-6月期連結決算の最終損益は、2001年に上場以来最悪となる262億円の赤字(前年同期は18億円の黒字)を計上した。会見したサラ・カサノバ社長兼CEO(最高経営責任者)は、「上期は昨年の期限切れ鶏肉使用問題などで傷ついたブランドイメージの回復に注力した」と述べたが、上期の既存店売上高は前年同期比で27.5%減となった。
下期のスタートである7月も12.6%減と、2ケタの減少が続いている。カサノバ氏は「リカバリープランの実行により、顧客が戻ってきている。8月からプラスに転じ、下期は改善が続く。16年12月期には(年間で)プラスになる」との見通しを示したため、にわかに8月の既存店売上高に関心が集まっている。昨年8月以降の既存店売上高は、期限切れ鶏肉問題の影響で2割前後落ち込んだ。もともと下期のハードルは低い。1割程度のプラスでは復調したとはとてもいえない。
4月に公表した経営プランの柱である500店の改装(リモデル)と130店の閉店を、計画通り今期中に達成できるかどうかも注目点だ。上半期はリモデルが27店、不採算店の閉鎖はゼロ。単純に店舗数ベースでみると、進捗率はわずか4.3%足らずとなる。15年12月期の見通しは、全店売上高が3820億円(前年同期比14.4%減)、連結売上高が2000億円(同10.0%減)、最終損益は380億円の赤字(同218億円の赤字)となっている。FC店を含めた全店売上高は03年の3867億円を下回り、12年前の水準に落ち込む。
しかもこの数字は、再建のシナリオが計画通りに進捗することを前提としたものだ。計画が未達になれば、業績がさらに下振れする可能性が高い。赤字幅が拡大すれば、カサノバ氏の責任問題が浮上する。12月決算の見通しが立つ今秋が、大きなヤマ場となりそうだ。
崩れたビジネスモデル
マクドナルド米国本社の4-6月期決算の売上高は前年同期比9.5%減、純利益は13.7%減と、落ち込みに歯止めがかからない。業績低下の打開策が見当たらず、客足が遠のいたままだ。全世界の既存店売上高は0.7%減。とりわけ米国が2%減と落ち込み、日本の不振も際立つ。
「日本マクドナルドの原田泳幸前社長とカサノバ氏は、共にマーケティング畑の出身。危機的状況を一発逆転するには、現場がわかるトップが必要である。消費者から見離されたことが、失速した最大の原因だからである」(業界筋)