さらに統合後の取り組みについては、「コンビニ市場についてはブランドを一本化いたします。商品力、調達力を強化し、トップラインをあげていく。また物流やインフラの強化を進め、スケールの大きさ、ネットワークの密度の高さを最大限に生かします」(同)という。GMSについては、すでに構築されている東海や関東圏で、ドミナントに磨きをかけていく。また、売上高で3兆円を超えるスケールメリットを最大限に生かしていくという。
しかし、両社は本当に一緒にやっていけるのだろうか。
3つのアキレス腱
今回の基本合意で具体的に決まっているのは、合併比率のユニーGHDの1株に対して、ファミマは0.138株を交付することと、コンビニのブランドを統一するということ。役員構成や重複店舗、業績不振店舗の統廃合をどう進めていくのか、今後の事業のグランドデザインなど具体的な方向性は何も見えてきていない。まさに、「まず統合ありき」の基本合意だということだ。
すでにコンビニのライバル企業などの間では「結局は弱者連合。一時的には店舗数でセブンを抜いても、いったいどれだけの店舗が残り、日販をどれだけあげられるかは疑問だ」という声すら上がっている。
では、いったい何が難しいのか。実はこの経営統合には、3つのアキレス腱があるといわれている。
ブランドの統一化
一つ目はブランドの統一化だ。ブランドやシステムを統合することにより、シナジー効果が生まれてくるわけだが、ファミマの統合相手であるサークルKサンクスは2001年に経営統合して以降、両店舗のブランド統合はできなかった。自分たちのブランドにこだわりがあったからだ。そこにファミマが加わり、さらに関係は複雑になる。仮にファミマのブランドに寄せるとしても、サークルKサンクスの店舗は6310店舗ある。
ファミマは09年12月、am/pmを子会社化し、11年12月までの間に経営統合した。2年間かけて80億円を投資し、約733店舗(統廃合前の全1107店舗のうちの66%)を改装してブランドの統一化を図った。今回、仮にこの時と同様に66%のサークルKサンクス店舗が残るとして計算すると4164店舗。前回に比べ、5.6倍の店舗の統合をすることになる。
「それだけの店舗を統合するのは、そう簡単なことではないし、投資額も単純計算すれば448億円。733店舗をリニューアルするのに社員総出で2年かかっていることを考えると、単純計算では10年以上かかることになる。しかも利害が錯綜するため、離反組が出てくる可能性がある」(コンビニ幹部)