ファストフードやレストラン、コンビニや百貨店のイートインコーナーであれば、まだ「テイクアウト商品を、店内やイートインコーナーで食べている客を見分けることができる」だろうが、ショッピングセンターやアウトレット、高速道路のサービスエリア、道の駅などの複数の店舗が共同で飲食する場所を提供しているフードコートで、自分の店のテイクアウト商品を食べている客を探し出して、2%分の消費税を請求することはできないだろう。ましてや、フードコートの外にあるベンチで食べている客に文句を言うことはできない。
イートインを外食とすると食品表示基準と矛盾が生じる
イートインを外食として軽減税率の対象外とした場合、店側には結構やっかいな問題が起こる。たとえば、ベーカリーで「ばら売りのメロンパン」と「容器包装されたサンドイッチ」「缶入りコーヒー」を買って、店内で飲食すると、ばら売りのメロンパンは10%、容器包装されたサンドイッチと缶入りコーヒーは8%となる。
これは、たとえ飲食店で販売されようが、容器包装された加工食品は、食品表示基準の加工食品の適用内になるからだ。食品表示基準が適用されるかどうかは、業種業態によって変わってくるのではない。ましてや、誰がつくったかでもない。どこで食べるかでもない。加工食品の場合は「容器包装されているかどうか」で、適用か適用外かが決まっている。
飲食店が同じ敷地内で製造したサンドイッチであっても、容器包装して売り場に出されれば、どこで食べようが食品表示基準の対象になるので、食品表示義務が生じる。飲食店で製造されていない缶コーヒーも食品表示基準の対象になる。
そうかといって、飲食店で提供・販売されるものをすべて外食扱いにすると、コンビニや自動販売機で売られる缶コーヒーやペットボトルのお茶が軽減税率の適用を受けるのに、これらが飲食店内で販売されると適用を受けないということになり、あまりにも不公平だろう。
飲食店でつくったものを外食扱いにするのも難しい
しかも、多くのコンビニは飲食店である。飲食店と販売店の違いは、飲食店営業許可を取得しているか、食料品等販売業許可を取得しているかである。店内調理をするコンビニは、飲食店営業許可を取得しなければならない。もちろん、販売業許可も取得している。飲食店営業許可を取得している店が外食で、販売業許可を取得している店が非外食となると、コンビニで販売されるものは、すべて軽減税率の対象外となってしまう。飲食店か販売店かで線引きするのも無理がある。
『一冊で分かる!食品表示』 食品表示なら、この一冊! 食の安全・食育・食品表示問題の第一人者、垣田達哉が 2015年4月施行の食品表示法を豊富な図表と表示例で徹底解説。 第1章では従来の食品衛生法、JAS法、健康増進法と「食品表示法」では何が変わったかを解説。 また食品表示全体の理解のために第2章では生鮮食品の表示の基本を、 第3章では加工食品の表示の基本を解説。食品表示初心者の方にもわかりやすい一冊。