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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

マックにさらなる試練か スタバ成功の仕掛け人、「中価格」高級バーガーで大人気

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員
マックにさらなる試練か スタバ成功の仕掛け人、「中価格」高級バーガーで大人気の画像1シェイクシャックの店舗

高付加価値化の舵を切り始めたモスバーガー

 マクドナルドが不採算に陥った店舗を次から次へと閉鎖し、その存在感が弱まっていくなかで、同時に世代交代につながる動きがポツポツと出始めている。そのひとつが、モスバーガーを運営するモスフードサービスだ。

 モスバーガーの15年度の売上高(既存店ベース)は、4月こそ前年同月比1.9%減だったが、上期(4~9月期)ベースでみると前年同期に比べて6.5%も増えている。客数は2.7%減とやや減ったものの、客単価を9.5%増と大きく伸ばすことに成功した。さらには、15年に実施された「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」において、モスバーガーが飲食部門で総合1位の座を獲得しており、高い顧客満足度を得ていることがわかる。モスバーガーは、マクドナルドの苦戦を尻目に今後も一気に攻勢を強めていくことだろう。

 その兆しになるのが、11月27日に東京の千駄ケ谷にオープンした「モスクラシック」だ。同店は「大人のための憩いの場」をテーマにした、フルサービス型のハンバーガーレストランであり、その場で大きなグリドル(鉄板)を使って調理するグルメバーガーとともに、光サイフォンで淹れたコーヒーやアルコール類なども提供している。主力商品である「モスクラシックテリヤキバーガー」「チリバーガー」「アボカドバーガー」などはいずれも1,000円以上であり、従来の300円台のモスバーガーと比べて3倍以上の高単価となっている。この同店舗は「モスバーガー」の上位ラインにある新業態店舗と位置づけており、今回の千駄ケ谷での検証結果を参考にしながら、六大都市(東京都区部・大阪市・名古屋市・横浜市・京都市・神戸市)での出店を目指す計画だ。

グルメバーガーの真打ち、シェイクシャック

 また、このモスクラシックからほど近い場所で、もうひとつの見逃せない動きがある。それが「シェイクシャック(SHAKE SHACK)」だ。モスクラシックとほぼ同じ時期に、外苑いちょう並木沿いに国内1号店をオープンしており、いちょう並木のハイシーズンとも重なって毎日長蛇の列ができている。このシェイクシャックは、ニューヨーク発の9カ国で73店舗を運営する高級ハンバーガーレストランであり、14年に「サウスビーチ ワイン&フードフェスティバル」でベストバーガーに選ばれ、同年度版のレストランガイド「Zagat NYC」でも「最も人気のあるニューヨークのレストラン」に選出。そのほか米誌「ボナペティ」が選ぶ「米国で最も重要なレストランTop 20」や、米誌「タイム」の「歴史上、最も影響のある17のバーガー」に選出されるなど、「ニューヨークのベストバーガー」との呼び声も高い。

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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