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田中洋「マーケティングのキーインサイト」

Uberは革新ではない…なぜiPhoneになれない?破壊的革新者が支配者になる過程

文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授

 ひとつは、破壊的イノベーションは低価格帯から市場に参入することが多いので、主流派は自らが得意とする高額な価格帯に絞って、より高級ブランドとしての体裁を整えることです。しかし、こうした防御策を取ったとしても、既存ブランドはいずれ破壊的イノベーターに取って代わられてしまう運命にあります。

 もうひとつの選択肢とは、破壊的イノベーターに正面から対抗して、破壊的ブランドのそっくりブランド、つまりチャレンジャーブランドを発売することです。こうすることで、破壊的イノベーションの勢いを削ぎ、あわよくば自社ブランドがチャレンジャーに取って代わることができるかもしれません。

 いずれにせよ、こうしたイノベーションのジレンマをめぐっては、まだブランド戦略の面からは、考察すべき課題が少なくありません。これからの研究や実践の進展が待たれます。
(文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授)

【引用文献】
Clayton M. Christensen, Michael E. Raynor, & Rory McDonald. (2015). What Is Disruptive Innovation?
玉田俊平太 2015 『日本のイノベーションのジレンマ 破壊的イノベーターになるための7つのステップ』 翔泳社

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

京都大学博士(経済学)
日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。
1975~1996 21年間、㈱電通勤務。
1996~1998 城西大学経済学部助教授
1998~2008 法政大学経営学部教授
2003・4年度コロンビア大学ビジネススクール客員研究員
2008~2022 中央大学ビジネススクール教授
2022~ 中央大学名誉教授
元・東証一部上場・ソウルドアウト株式会社社外取締役
関心領域:マーケティング論・ブランド論・広告論
田中洋 中央大学ビジネススクール教授のオフィシャルサイト

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