真田丸、孤独のグルメ、モンハン…放送後に起こる不思議な共通の現象とは?
先月よりNHK大河ドラマ『真田丸』がスタートし、真田一族ゆかりの地、長野県上田市はその反響に胸を膨らませている。市立博物館への年間入館者数は、放送開始前の2015年の段階で14年に比べて約1.4倍増加しており、16年に上田市を訪れる観光客数は年間で100万人増を見込んでいるという。
視聴者が、舞台となった場所や取り扱われたモノを目当てに観光することは、「聖地巡礼」と呼ばれることもあるが、この現象について立教大学教授の有馬賢治氏にマーケティングの視点から解説してもらった。
「ドラマでは以前と比較して、現実に営業している店舗を実名で利用することが増えた印象があります。また、登場する店舗をメインに取り扱う構成のドラマに人気が集まっている点も興味深いところです」
テレビ東京系の『孤独のグルメ』では、主演の松重豊がおいしそうにご飯を食べる姿が話題となり、Season5まで展開している。また、BSジャパンなどで放送されている飲み歩きドラマ『ワカコ酒』も現在Season2が放送されるなど、これらの作品は多くのグルメファン注目の番組へと成長し、取り上げられたお店は、放送翌日には盛況になるという。
テレビにとどまらず、インターネットゲーム『刀剣乱舞』の影響力もすごい。ユーザーはゲームに登場する擬人化された刀に興奮しているうちに、いつの間にか本物の刀へと興味の対象が移り、最近では「刀剣女子」などというワードも登場。彼女らを含め、多くの若い人が刀剣美術館や博物館に足を運んでいるという。
「キャラクターのモチーフだけでなく、『ラブプラス+』と熱海、『モンスターハンター』と長野信州渋温泉のように、ゲームと町や観光地がコラボして、その場所へ実際に行くことで初めて遊べるキャンペーンを行うことも、昨今のゲーム業界では珍しくありません。こういった製作側の狙いもあって、その地を訪れようとする視聴者やユーザーが増えていると言えそうです」(同)
「リアル・イン・フィクション」現象で経済活性化か
また、ネット全盛のこの時代だからこその理由も見られるという。
「ネットが一般に普及する以前は、ドラマなどで取り上げられた場所やモノを探し出すことは難しかったと思います。しかし今では、検索ワードが曖昧でも正確な情報へとたどり着くことができるようになりました。また、スマートフォンやタブレットの普及で、現地までのナビゲーションや、現地での多角的な情報探索が可能になりました。これにより、ドラマやゲームの舞台を訪ねることへのニーズがさらに高まったといえるでしょう」