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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏
医者の息子が「ボンボン生活」捨て通販雑誌の一カメラマンに…なぜ五輪公式の世界一流に?

「私の人生でライバルというのはいません。競争相手はいつも自分です。以前同業の先輩に50代でカメラマンを辞めた理由を聞いたところ、『写真を撮っていて、もうこれでいいやと妥協するようになったから』と話していました。もっといい写真が撮れるのではないかと貪欲に追求する姿勢がなくなったら、プロとして引き際でしょうね」(同)
毎回発行してきた五輪の公式写真集は、今年のリオ五輪直後にも発行する。開催地での五輪撮影を終えた青木氏は、空港からオフィスに直行してスタッフと一緒に写真選びに没頭する。
「世界中から集めたいい写真の中から選ぶのは楽しい作業です。ここ2~3回は同じスタッフが行っており、産休中の女性社員も『4月には帰ってきます』と宣言しています(笑)」
アフロ社内では「役職で呼ぶと上下関係が生まれる。同じ仕事をするからには仲間」という同氏の信念のもと、役員も社員も「さん」や「君」づけで呼び合う。「言われなくても、時間を忘れて顧客の要望する写真の撮影やビジュアル選びに没頭する社員が多い」という。
「仕事を楽しむ」をモットーに、現役を続けて結果を出す。企業経営の舵取りも誤らない。現役クリエーターと経営者の両立は難しいが、ロマンを掲げて仕事を行う視点は、目先の業務に追われがちなビジネスパーソンにとって参考になりそうだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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UPDATE:11:30