「ギガ ビッグマック」や「クラブハウスバーガー」の販売動向の詳細は、今のところわかっていないが、白鵬関をテレビCMで起用するなど宣伝広告には相当力を入れており、販売の強化につなげようとしている。
マクドナルドは、失った顧客を取り戻すためにも話題性のある商品を開発していく必要がある。商品の販売において大きな生命線となる商品名を、自社で決定せず消費者に公募するという奇策を用いて「北のいいとこ牛(ぎゅ)っとバーガー」の発売に至った。公募するにあたって、その告知にも相当の資金を投入したとみられている。
「ギガ ビッグマック」の宣伝広告には白鵬関を起用しているが、これにも少なくない資金を投入している。「クラブハウスバーガー」は8種類の具材を使用しているが、厳選された具材を調達することは簡単なことではないはずだ。相当な資金と労力を要していることだろう。
こうした資金の投入は今のマクドナルドに必要ではあるが、一方で懸念すべきことがある。長期借入金(いわゆる借金)の増加と現金及び預金の減少だ。
長期借入金は14年12月期には5億円と僅少であったが、15年3月に220億円の借入れを取締役会決議し、15年1~3月期の長期借入金は200億円となった。その後、15年4~6月期は193億円、15年7~9月期は187億円、15年12月期は181億円と減少傾向にあったが、16年1~3月期は銀行からの借入れにより295億円にまで膨れ上がった。
一方で、現金及び預金は減少している。15年1~3月期には305億円あったが、15年4~6月期は252億円、15年7~9月期は131億円、15年12月期は203億円、16年1~3月期は155億円となっている。
16年1~3月期に長期借入金が現金及び預金を上回り、その額は2倍近くにもなっている。借入れた資金を商品開発費や宣伝広告費、店舗改装費などに投資していると考えられる。しかし、いまだ最終損益が赤字のままなので、現金及び預金が減り続ける状態から抜け出せない。資金の流出が止まらない状況にある。
失った信頼を回復し、売り上げと利益を恒常的に確保できるようになるのが早いのか、それとも利益が確保できず借金が膨らみ、金融機関からの借入れがストップし、資金の流出に歯止めがかからず手持ちの資金が尽きるのが早いのか。消費者とマクドナルドの根くらべはまだ続きそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。