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もっとも6日後の11月10日、それら名目とは異なり、預かり口座のカネのうち1億2000万円は木村元会長の元妻に財産分与として送金された。じつは木村元会長が20年以上連れ添った元妻と協議離婚したのはわずか半年前、5月24日のことだ。その時交わした合意書に基づき木村元会長はすでに8000万円を支払っていたが、11月9日付で再度、合意書を交わし追加の送金を行ったのである。
たった1000万円の保釈保証金で済んだため、弘中弁護士の預かり口座には大量のカネが残っていたが、そのうち1億円は12月22日に木村元会長が楽天証券に開設した証券口座に送金され、翌11年6月8日にも5000万円が同じように送金された。
新ビジネスの手元資金への疑問
あらためてまとめると、シンガポール口座にあったプール金は半年の間に弘中弁護士の預かり口座も経由するかたちで国内3つの先に分散された。そのうち木村元会長名義のものは1つだけだ。しかし、RCCは第1訴訟においてほかの2つの先への送金が資産を隠すための詐害行為だったと主張している。なぜ弁護士口座を経由する必要があったのかなど、確かに不自然極まりない資金移動だ。
決して他人に悟られることなく木村元会長が自らの私利私欲に取り憑かれていたことは間違いない。筆者も6年前の取材当時にはその本心を窺い知ることはできなかったが、訴訟で明らかになった数々の事実を眺めると、そのようにしか理解することができない。現在、木村元会長は都内で外国人留学生向けビジネスを手掛ける企業グループを実質的に経営している。元手となった資金をどのように用立てたのか――。これまで述べてきたことでかなりの説明がつくのではないか。
他方、木村元会長に付き従っていたほかの旧経営陣の末路は悲惨である。銀行法違反事件でともに有罪判決を受けた元社長(60歳)は12年12月に個人破産した。また、同様に側近のひとりだった元専務執行役(54歳)はRCCが提起した裁判で請求を認諾した後、13年8月にやはり個人破産している。前述とは別の元社長(60歳)は逮捕こそ免れたものの、RCCが起こした第1訴訟では被告に名を連ねることとなり、やはり今年2月に個人破産に追い込まれている。
これがいまだ知られざる振興銀事件の本質である。
(文=高橋篤史/ジャーナリスト)
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