(2)業界全体の人手不足
昨年、商工会議所が全国の企業を対象に調査したところによると、飲食店業界では「人手が足りない」と答えた企業が約半数に上った。つまり、今は売り手市場となっているため、条件の良い店でなければ働き手は集まりにくくなっているのだ。
(3)給与の低さ
マクドナルドのアルバイト時給は、それぞれの地域の最低時給に近い。全国で700~800円台がほとんどだ。東京都内でも900円台だ。今や飲食店のアルバイトは都内であれば1000円を超すところが多くなっているなかで、900円台で人手を集めるのは厳しいだろう。
アルバイト確保の施策
このような状況に対し、マクドナルドが打ち出した施策は次の5つだ。
(1)本社主導でのアルバイト募集
アルバイトを募集する場合、通常は店舗ごとに費用を負担する。だが、全国おしなべて人手不足の異常事態に、本社が費用を負担して全店舗のアルバイト募集の情報をアルバイト情報誌に掲載している。
(2)コンシェルジュの導入
2月から「おまかせ!マック」と命名した制度を導入し、アルバイト希望者一人ひとりに合った場所、時間、働き方などを提案するコンシェルジュサービスを導入し、働く人をサポートする体制を整えた。
(3)店頭でのスカウト
店頭でクルーが「私と一緒に働きませんか」などとお客に声をかけるプロジェクトを展開している。
(4)メディア展開
3月からは「クルーになろう。」とのキャッチコピーで、マクドナルドでのアルバイトをアニメにして公開している。また、アイドルグループのAKB48とコラボしてアルバイト募集のキャンペーンを展開させている。
(5)ポスター掲出、チラシ配布
店舗にポスターを貼り、街頭でチラシを配るなど、地道な募集活動も同時に展開している。
人材をおろそかにするマクドナルド
マクドナルドが、これだけ力を入れて人材をかき集めたことはかつてなかった。それだけ、人手不足が深刻で、かつ人材確保が喫緊の課題となっているのだ。
せっかく客足が戻ってきていても、店員が少ないために商品の提供が遅くなったり、ミスが多発するなど、サービスの質を保てなければ、客は完全に離れてしまう。
だが、クルーリクルート担当者は「大幅に人手が足りないということはない」と語り、現場とは温度差がある。