ミシンのブラザー、驚異的「ダーウィン進化論」経営!主力事業をコロコロ替え百年成長持続
「事業構造の組み換え」による体質強化
–ブラザーは「CS B2018」と呼ぶ、3カ年の中期戦略をスタートさせました。中身を見ると、その前の「CS B2015」と売上高を同額に据え置いた一方、利益を重視しています。事業構造を再編する意図が感じられ、企業を支える柱を増やす狙いも見えます。
小池 18年度の業績目標は「売上高7500億円、営業利益600億円、営業利益率8.0%」と定めました。今回の経営計画では、従来の(一般向け)プリンティング事業と通信カラオケなどの事業を「収益力強化事業」に、それ以外を「成長領域事業」「新規事業」に分けました。この経済環境で無理に売り上げ拡大を追えば、利益率を犠牲にする弊害も起きかねません。
また、ドミノ事業(15年度は9カ月実績で売上高約483億円)も単体としてみるのではなく、視野を広げて、これまでのブラザーでは手薄だった産業用印刷事業として伸ばしていきたい。今後シナジー効果を上げて、20年度までの5カ年で1000億円規模に育てる計画を立てています。これを達成すれば、事業の軸足もBtoC(企業対消費者)からBtoB(企業対企業)にシフトして、事業ポートフォリオの組み換えがかなり進むと期待しています。
–社長に就任して今年で10年目。情熱を失わないために心がけていることはなんですか。
小池 仕事に対する当事者意識でしょうか。最終決断を下す社長の立場でいえば、「常に迅速に、ブラザーグループとしてベストと思われる意思決定をし続けること」だと考えています。
以前、社内の新任管理職に向けて「情熱ややる気のあるリーダーが、時には多少の無理をしてでもやりきることが必要だ」と話したこともあります。上に立つ者が積極的に挑む企業風土を維持するのも社長の役割でしょう。社長として、会社の屋台骨を揺るがすようなバクチは打ちませんが、企業体質に余裕がある時期は将来への布石も打っておきたいと考えています。